エトロ(ETRO)が2013年6月24日(月)、2014年春夏コレクションをイタリア・ミラノで発表した。インスピレーション源は、ファビオ・トロンカレッリの「La spada e la croce」という本の中で描かれている17世紀のメキシコに実在した人物、怪傑ギジェン・ロンバルド。1650年に始まったメキシコの独立闘争を最初に指揮し、異端として火刑に処された男の生き様をコレクションに落とし込んでいる。
ショーはベージュのコットンスーツを着た若者と壮年が並行して歩く演出でスタート。スーツの背中には大胆なウエスタンヨークが入り、ただのコットンスーツではないことを主張している。その後はウエスタン&メキシカンルックのパレード。レーザーカットで繊細な柄が描かれたレザーシャツジャケットや、袖にペイズリーモチーフを配したトレンチコート、ブーツカットのトラウザーなど、汗と土の匂いがするアイテムを並べた。
カラーパレットはベージュを基調に、砂漠の夕日を連想させるオレンジやターコイズブルーを挿し色に使っている。“ザ・メキシコ”的なウエスタンハットや首元に巻いたシルクのバンダナも本気度の演出に一役買っている。後半はウエスタン&メキシカンのテイストはそのままに、メインカラーをベージュから黒に変え、怪傑の夜の遊び服を提案。シガーを吸うためのスモーキングジャケットを着たルックは、一仕事終えて一服を楽しんでいるように見える。
トレンドというより、あくまでエトロ流をストレートに表現したことをまずは評価したい。つまるところ「私たちが現代のモード界の怪傑になる」という意思表明なのだと思う。
Text by Kaijiro Masuda (FASHION JOURNALIST)