ミュウミュウ(MIU MIU) 2021-22年秋冬コレクションが発表された。アルプスの雪山を舞台にした今季は、“Brave Hearts”をテーマに掲げている。
今季“ミュウミュウ マウンテン クラブ”を立ち上げたミュウミュウ ガールは、果敢にも冬のアルプスの山岳へと旅に出た。雪が降り積もる険しい山道をランウェイに、ひるむことなく、堂々と闊歩していくモデル達。本来ファッションとは程遠い雪山でのファッションショーは、そのシニカルな“矛盾”を楽し気に表現するかのように、<リアリティとファンタジー>の対照的な要素を内包しているのが特徴だ。
あたり一面に広がる純白の絨毯――のような、寒さ厳しい山岳に現れたのは、実用性とファッション性を“ちぐはぐ”に組み合わせたユニークなワードローブだ。身体をすっぽりと包んでくれるボリューミーなスキーウェアは、艶めくサテン生地でロマンティックに表現。一方スリップドレスや、ブラレット×スカートのセットアップといったセンシュアルなピースは、温かなウールで“雪山仕様”に仕上げているのが印象的だ。
また一つのルックの中でも、対照的な要素が、ミュウミュウらしい遊び心を交えながら共存している。例えば、ひらひらと軽やかなスカートをなびかせながら、トップスに分厚いニットウェアを重ねていたり。また薄手のドレス一枚に対して、頭にはマスク付きのニット帽を、手にはファーたっぷりの手袋を纏って“防寒対策”していたり。
中でも印象的だったのは、雪山にはいささか似つかない、艶めくサテンドレスに、ずっしりと重厚なロングコートを纏ったルック。ロングコートの首回りには、メタルのスタッズがたっぷりと散りばめられていて、それはまるで勇敢に雪山を進むモデル達を讃えるのような“鎧”のよう。フェミニン×マニッシュの対照的な要素、そして今季のムードを落とし込んだ、象徴的なルックといえるだろう。
パレットは、ベーシックカラーを交えながら、白い雪道に良く映える鮮やかなイエロー、キャンディのようなピンク、淡いブルーやパープルといった明るい色彩を取り入れて。時折交えたスパンコールは、銀世界を連想させる幻想的な煌めきで、非現実的なムードへと引き寄せる。
そして今季は、いかにも温かそうなファー付きのシューズやブーツが複数登場。中でも“獣の足”にも見まがう超ボリューミーなニーハイブーツは、今季ひと際存在感を放つ“主役級”の一足となった。
Photo by Johnny Dufort