エルメス(HERMÈS)は、2021-22年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
オンライン形式にて発表された今季は、パリ、ニューヨーク、上海の3都市を舞台に、それぞれ異なるスタイルで同時にコレクションを発表。パリではランウェイショーを、ニューヨーク、上海ではパフォーマンス形式のプレゼンテーションを実施し、その模様をオンライン上で配信した。
最初に映し出されたニューヨークでは、振付家のマドリーヌ・オランダーが演出を担当。ニットトップスとプリーツスカートに身を包んだダンサーたちが群舞を繰り広げ、躍動する身体と衣服の連動を見せた。
瞬時に画面が切り替わり、パリでのランウェイショーへ。目に留まるのは、ステッチや生地の切り替え、ウインドウ・ペンチェックなど、服地を直線的に走る“ライン”のディテール。タイトなデニムジャケットやコートには、縦に細長い切り替えを施し、ノーカラージャケットとタイトスカートのセットアップには細いレザーで交差するラインを描いた。
また、格子状にステッチを配したキルティングジャケットには、輪郭を縁取るようにホワイトのラインを引いたブラックのパンツをコーディネート。しなやかなワンピースにはプリーツを施し、レザーパンツはあえて脚の中心をなぞるようにして切り替えが施されている。服地の上をまっすぐ伸び、直角に交差するラインは、まるで身体のフォルムをグラフィカルに定義しているかのようだ。
デコラティブな刺繍やフリンジなど、フォークロア調のディテールも散見された。艶やかなラムレザーのフリンジワンピースは、ウエストにあしらったバックルがデザインのアクセントに。ケープのようにして生地を重ねたボルドーのジャケットは、ダブルフェイスのカシミヤを採用。マットな質感がリュクスな印象を放ち、襟などのパーツに用いた光沢のあるラムスキンが、質感のコントラストを描く。
袖に分量を持たせたブラックのトップスやブルゾンには、エルメスのカレにも用いられている「ズアヴとドラゴン」の絵画的なモチーフを刺繍で表現。白の糸が織り成す繊細なモチーフが黒地に映え、細やかなクラフトマンシップを感じさせる。身頃に加え、袖にも細かくエンブロイダリーを施した。
同じく「ズアヴとドラゴン」のモチーフからインスパイアされた刺繍を施した、シルクのスモックドレスも登場。上品な光沢感と流れるようなシルエットが、エレガントな雰囲気を演出する。
コレクションのラストを飾るのは、振付家のグ・ジャニが手がける上海でのパフォーマンス。格子柄のタイトなトップスとレザーパンツに身を包んだパフォーマー達がボックスを使いながら目まぐるしく舞台上を動き回る、フィジカルなパフォーマンスによって締め括られた。
©Filippo Fior