Q.肌感はどうですか。
A.プラスティックというかマネキンのようなルックが多くのショーで出てきました。ポイントのハイライト使いは、私たちの普段のメイクにも使えると思います。
濡れたような輝きはどうしても崩れてしまうのでデイリーには難しいじゃないですか。潤うように仕上がるファンデーションを使うのもありですし、ハイライトカラーで光を受けやすい頬骨の上辺りなどに、透明感のあるパウダー状のハイライトをつけるだけで、印象はぐっと今年らしくなります。ラグジュアリーでモイストされたようなしっとりとした肌が主流になってくるので。
Q. 2013-14AWで好きなブランドはどこでしたか。
A.個人的にはテリーも手がけた、マイケル ヴァン デル ハム。強いけどファッション的にも今年っぽくてやりがいのあるバックステージでした。このブラックの囲みアイメイクは、グロスをつけて濡れ感を出しているんですが、パーフェクトではなく、ちょっとヨレた感じを出していて、パーフェクトに仕上げようとする自分がいる中で、程よく崩すという……難しいですよね。でもそのロンドン的なニュアンスを楽しみながら、メイクできました。
■テリー・バーバー/M・A・C メイクアップ アーティストリー ディレクター
Q.今季、どのブランドが印象的でしたか。
A.多くの若いデザイナーが好きです。私はロンドンから来ましたが、ロンドンでマイケル ヴァン デル ハムのショーを担当しましたが興味深いものでした。彼の服は多くの違う素材や様々な構造を使っていて……。ドリス ヴァン ノッテン、アン・ドゥムルメステールなど、パリでショーをしているベルギー人デザイナーも好きですよ。
Q.マイケル ヴァン デル ハムのアイメイクはグロッシーでゴージャスですね。
A.ええ、彼はもっと“完璧ではない”メイクに仕上げる、というアイデアを気に入ったのです。デザイナーは服がとても美しいから、メイクは対照的なものにすべきだと気づいたのですね。とても可愛らしいルックですから。
Q.ギャップを生み出そうとしたのですね。
A.ファッションと逆のニュアンスのメイクというのが面白いのです。冒険心溢れるハーモニーを作り出します。私はどうしたら見事に垢抜けるだろうと考えたときに、ちょっと壊すことを思いつきました。完璧であるというよりは、個性や女性らしさを引き出す方がいい、感情に左右されて頑張らなくていい感じという方が気分です。
Q.トレンドのメイクアップにするには、どのようにすればいいですか。
A.そうですね、私がアドバイスしたいのは、(眉、まぶた、頬、リップと言ったような)全部が全部のパーツに完璧なメイクをするな、ということですね。例えばもし印象的な眉、強めのリップをするなら、ナチュラルなアイメイクにといったようにすれば、ぐっとモダンなメイクに。赤いリップにするなら、アイシャドウは抑えめにね。そうすれば、もっとスタイリッシュでシックになりますよ。それこそが新しいバランスだと思います。
ファンデーションをし過ぎないテクニックも私は好きで、ファンデーションは輝くような素肌に近いものがいいと思います。メイクアップによって女性がランクアップできるように、ハイライターとファンデーションを使いました。女性が望んでいるのは、楽して綺麗になれることでしょう? メイクアップアーティストの私があまりメイクし過ぎるなというのもおかしいのだけど。
どうやったら面白いメイクになるかに注力すべきで、完璧過ぎるメイクをしちゃダメ、と考えています。自分の魅力的な部分を引き出すようにしてください。もっと感情的にね。
Interview and Text by Rieko Kosai