レッド ヴァレンティノ(REDValentino)のヒロインは、気まぐれで夢見る女の子。2013-14年秋冬コレクションは、そんな無邪気な彼女がおとぎ話というレンズを通して垣間見る森の中の散歩道を描く。
童話「ヘンゼルとグレーテル」のように、本を片手にポケットの中にはパンくずをしのばせて。グレーテルのリボンとヘンゼルのフランネル、小さめのセーターと大柄チェック、ショートパンツにコンパクトなケープのルックが、物語を思い起こさせる。チュールレースがキルトに表情をつけ、ぬくもりに繊細さを加える。セーターにはドリーミーなパンプスを、コマンダーブーツには上品なスカートを合わせるなど、コーディネートが作るキュートなミスマッチで、自由奔放なムードに。
アラベスク模様がチロルの風景の中で存在感を示し、カラフルな刺繍がワードローブ全体に散りばめられることで、ノスタルジックな雰囲気に誘う。ミニ丈のスカートやドレスなどハイパーフェミニンなシェイプにマスキュリンなファブリックの組み合わせが特徴的。カラーパレットは夜をイメージさせるブラックにレッド、アーモンド、ミルク、グラスグリーン、アクアブルー、ピンク、エッグカラーで遊び心と柔らかさを添えた。
レディライクなバッグには風景の刺しゅうが、ハンド・ペイント風のプリントなどロマンティックなディテールが少女の頃の記憶を蘇らせる。少女のようにちょっと背伸びして貴婦人を気取ったり、ショートパンツでトムボーイのように振る舞ったり……。単調さに陥ることなく、無邪気にドレスアップするヒロイン像が浮かび上がるようだ。