ヨハン クー(Johan Ku) の2013-14年秋冬コレクションが、2013年3月21日(木)に発表された。今回のテーマは「Anna」。10代の頃に映画館で観た、映画「ダメージ」の主人公から着想を得て、欲望を最後まで突き抜こうとする執念深い女性像を表現した。
発表の場となったWWWは渋谷のスペイン坂にある、元映画館だった場所。規模は小さいが、見せるべき人だけに見せたいという想いと、映画の持つ神話性が今回のコレクションには必要だと感じ、この場所を選んだと語るデザイナーのヨハン・クー。
得意とするざっくりとした質感の分厚いニットのほか、複雑な編み目で模様を浮かび上がらせたタイシルエットのワンピースやドレスが今季のキーアイテム。カラーはブラック、パープル、レッドに集約され、女性の内なる欲望を表現した。また、ロンドンで集めたアンティーク素材にダメージを加え、映画の手法であるカットバックのごとく布や素材をパッチワーク。それは映画の中で男の人生を破滅に追い込んでゆく、アンナの魔性性を描いているかのようだ。
ダメージ加工が多く見られたが、これはインスピレーションを受けた映画のタイトルを意味するだけでなく、去年母を亡くしたデザイナー自身の気持ちでもあるという。暗闇で発光するニットといった前シーズンまでの方法を脱ぎ去り、新しいステージへと向かう彼は、傷つきながらも未来を強いまなざしで見据えている。