企画展「新収蔵品展 ー学芸員が選んだおすすめ50ー」が、すみだ北斎美術館にて2020年9月15日(火)から11月8日(日)まで開催される。
「新収蔵品展 ー学芸員が選んだおすすめ50ー」では、すみだ北斎美術館の開館以降、新たに収蔵した葛飾北斎の作品の中から、学芸員が選んだ50点の作品を展示する。会場では、北斎とその門人らの肉筆画、版画、版本などを前後期に分けて紹介。展示作品の多くが初公開となるのも大きな魅力だ。江戸の浮世絵師を代表する葛飾北斎の魅力や影響力を改めて感じられる内容となっている。
刻々と表情を変える富士山の姿を描いた、北斎の代表作「冨嶽三十六景」。その中でも特に優れた作品とされることから三役とも呼ばれ、北斎の代表作として名高い「神奈川沖浪裏」、「凱風快晴」、「山下白雨」は本展でも必見だ。
本展では、乳母が子どもに百人一首の和歌を絵で解説するために描かれた大判錦絵シリーズも紹介する。「百人一首うはかゑとき 安倍仲麿」は、奈良時代の遣唐使、阿倍仲麻呂が異国の地・唐で月を眺めたとき、故郷を想って詠んだ歌「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」を北斎が絵解きしたもの。哀愁漂う仲麻呂の表情や、水面に映る儚げな月影から、仲麻呂の故郷を懐かしむ気持ちがうかがえる。
読者をストーリーに惹きこむ挿絵の展示も注目だ。『十嘉栄利花(とかえりはな)』は、北斎の門人・北岱(ほくたい)が挿絵を手掛けた読本の1つ。山賊の鬼柳盗太によって家族を殺害された志津子らの仇討の物語が綴られている。ページの半分に巨大な顔を配置した大胆な構成から、鬼柳盗太に対する志津子の強い復讐心と執念がうかがえる。髪の毛や着物の柄の細かい表現にも、北岱の丁寧さを感じる作品だ。
北斎の名画を、別の視点で見ることができる面白さも本企画展の醍醐味だ。たとえば、江戸の生業を描いた北斎の肉筆画「蛤(はまぐり)売り図」は、実は昨年まで「蜆(しじみ)売り」と考えられていたという。狂歌師によって絵に添えられた賛にも、「蜆かと思ったら蛤で、まさに“ぐりはま”だ」と書かれている。“ぐりはま”とは、はまぐりをひっくり返して成った、「物事の食い違い」を意味する語。このように、作品を知ることで、少し面白い豆知識を得ることができるのも楽しい。
【詳細】
新収蔵品 ー展学芸員が選んだおすすめ50ー
開催期間:2020年9月15日(火)~11月8日(日)
前期 9月15日(火)~10月11日(日)/後期 10月13日(火)~11月8日(日)
※前後期で一部展示替えを実施
開館時間:9:30~17:30 (入館は17:00まで)
休館日:毎週月曜日
※9月21日(月・祝)は開館、9月23日(水)は休館
住所:東京都墨田区亀沢 2-7-2
■チケット
一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円
※一般以外は、入館の際に身分証の提示が必要な場合あり。
※小学生以下は、無料で入館可能。
※団体の来館は当面受付なし。
※会期中の観覧日に限り、AURORA(常設展示室)をはじめ全ての展示を観覧可能。
※無くなり次第、販売終了。
【問い合わせ先】
すみだ北斎美術館
TEL:03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)