クロエ(Chloé) 2020年秋冬コレクションが、フランス・パリにて発表された。
ナターシャ・ラムゼイ=レヴィが今季描き出すのは、様々なフェミニニティの概念が交差する中で、固定概念から脱却しようとする女性たちの複雑な心の情景。そのクリエーションの一助を担ったのは、異なる国で活躍する3人の女性アーティストたちの存在だ。
マリオン・ヴァーブームによる豊満なトーテムが飾られた会場に流れるのは、マリアンヌ・フェイスフルのクラシックな詩の朗読。視覚のみならず、聴覚にも働きかける神秘的な演出で始まったショーには、リタ・アッカーマンが描く精霊のような少女のイラストレーションがレディ・トゥ・ウェアやアクセサリーに登場し、現代のフェミニティの意味合いをあらゆる角度から問いかけていく。
メンズライクなシャツドレスや、ハンティングジャケット、ワイドデニム、オーバーサイズのフレアスーツといった、マスキュリンなピースには、手作業で施された繊細なディテールで、フェミニンな要素を交えていく。真珠のように輝く立体的なペイズリーや襟にあしらわれたビーズ、イギリス刺繍などが、コレクションにさり気ないロマンスをもたらしているのだ。
またマニッシュなジャケットスタイルは、レザーベルトでウエストマーク。パワフルな装いの中にも、女性らしい柔らかなシルエットを描きだしているのが特徴だ。
カラーは、ヘザーやドゥーン、オークル、チェスナット、ダスティーブルーなどを基調に。落ち着いたな表情のパレットの中、ペイズリープリントのパッチワークや水玉柄といったモチーフがコレクションにリズムをもたらしていく。ショーの終盤には、これらのモチーフの代わりに、芸術的なペタルビーズを施した妖精のようなイブニングドレスが登場。足元は、レースアップブーツを差し込んで、力強く闊歩しているのが印象的だった。
今季のコレクションに登場したアクセサリーには、アンティークなムード漂うアゲートビーズの首飾り、ハンマーメタルのリーフをモチーフにしたイヤリングやバングル、カフスがラインナップ。またモデルの手元には、モノグラムが特徴的な大容量のトートバッグ「fredy」やマイクロクロスボディの「franne」をはじめ、クロコダイルの型押しを施したミニサイズの「daria」など、新作バッグが多数散見された。