東京・根津美術館の開館80周年記念特別展「国宝 燕子花図屏風─色彩の誘惑─」が、臨時休館に伴い、2021年4月24日(土)をもって閉幕。
江戸時代の画家・尾形光琳の「燕子花図屏風」は、群生するカキツバタを、金箔を張り詰めた大画面に、群青と緑青という2種の絵具で描いた作品だ。これら青・緑・金の3色は、東洋美術においてはしばし組み合わせて使われ特別な伝統を持つ一方で、光琳はこの屏風のなかに江戸時代ならではの感性も反映させている。
開館80周年記念特別展特別展「国宝 燕子花図屏風─色彩の誘惑─」では、青・緑・金という“色彩”に着目。国宝である「燕子花図屏風」を中心に、青・緑・金の3色を使った中世日本の仏教絵画、金屏風や同時代の陶芸作品をあわせて展示することで、「燕子花図屏風」に新たな視点からアプローチする。
展示の核となるのは、「燕子花図屏風」。カキツバタという単一のモチーフと限られた色彩が引き立てるリズミカルな画面構成、そして上質な絵具が生みだす鮮やかな色彩に注目したい。
また、同じく青・緑・金が特別な色彩として用いられらた、中世日本や中国の絵画などを展示。藍染めを施した紙に金泥で文字を書いた平安時代の経典「陰持入経」や、中国で唐時代以来、群青・緑青・金を用いて描かれた山水画の1つ「仙山楼閣図巻」などを通して、これら3色のもつ聖性の伝統に光を当てる。
さらに、常緑の竹を描いた室町時代の「四季竹図屏風」といった金屏風や、青や緑に黄色がコントラストをなす「色絵葡萄文大平鉢」など江戸時代のやきものも展示。「燕子花図屏風」へと至る色彩の伝統と、江戸時代における新たな色彩感覚を紹介する。
なお、根津美術館の庭園の池にはカキツバタが群生しており、その開花予想時期は4月下旬から5月上旬となっている。「燕子花図屏風」をはじめとする作品の鑑賞とともに、カキツバタの咲く庭園の散策も楽しんではいかがだろう。
開館80周年記念特別展「国宝 燕子花図屏風─色彩の誘惑─」〈日時指定予約制〉
会期:2021年4月17日(土)〜4月24日(土)
※当初は5月16日(日)までの会期を予定していたものの、臨時休館に伴い変更
※すでに購入済みの臨時休館期間の日時指定入館券の払い戻しについては、美術館ウェブサイトを参照
会場:根津美術館
住所:東京都港区南青山6-5-1
休館日:月曜日、臨時休館期間
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
入館料:
・オンライン日時指定予約 一般 1,500円(1,300円)、学生 1,200円(1,000円)
・当日券(窓口販売) 一般 1,600円(1,400円)、学生 1,300円(1,100円)
※( )内は障害者手帳提示者および同伴者1名の料金
※中学生以下は無料
※当日券は、予定枚数の販売が終了している場合あり
■日時指定予約制
・来館前日までに根津美術館ホームページ上にて日時指定券を購入(クレジットカード決済のみ)
・根津倶楽部会員、招待はがきを所持していて入館無料の場合も予約が必要
【問い合わせ先】
根津美術館
TEL:03-3400-2536 (代表)