メゾン マルジェラ(Maison Margiela)2020年秋冬コレクションが、2020年2月26日(水)フランス・パリで発表された。
コレクションの起点となったのは、先に発表されたオートクチュール・アーティナザルコレクションから。古くから、その格式高い地位を確立している“ブルジョワ”のジェスチャーの本質を探った同コレクションのアプローチをもとに、新たなプレタポルテを生み出した。
ブルジョワのジェスチャーを突き詰めるにあたり、コレクションで多用されたのは、彼らを連想させる衣服の“一部”である。シンボルとなったのは、首元に大胆に結んだボウタイと、そこから繋がるふっくらとしたアーム。メインとなるワードローブはオーガンザのドレスであるものの、その透過した存在と組み合わせることで、ブルジョワのクラシカルなコードを浮彫にさせる。
紳士たちに愛されきた上品なコートも然り。気高い印象をもたらしてくれるかっちりとしたラペルは、大胆に拡張され、さらに装飾までオン。まるでディテールが主役といわんばかりに、存在感をとき放っている。
解体と再構築を繰り返したクラシカルなトレンチコートは、解体された生地と生地の間に、チュールを忍ばすことで、ドレスメイキングのプロセスの経過を見ているかのよう。さらに左サイドには、縫い代を残したままの未完成な状態=「work-in-progress(作業途中・未完成)」のコードを用いて服の構造を露わにし、今季のキーワードをさらに探求していく。
ハンドカットのホールを一面にあしらったドレスは、服を核となる構造にまで削ぎ落とすというメゾンの手法=デコルティケを恐らくは取り入れたピース。モデルのすらりとした体躯に寄添う、エレガントなシルエットも相まって、レースを抽象化したようなドレッシーな表情に描かれているのが印象的だ。
メゾンならではのユニークな手法で完成したこれらのピースは、エシカルを原則としたラグジュアリーから生まれる、新たなブルジョワスタイルを感じさせる。既存のコードを崩し、価値観をアップサイクルするというプロセスを生み出すと共に、真のラグジュアリースタイルを反逆的に表現しているようにも感じられた。
なおモデルの足もとには、2020年春夏「アーティザナル」コレクションで初披露されたリーボック(Reebok)とのコラボレーションシューズが登場。メゾンのアイコンシューズ「TABI」シューズと、リーボックの人気スニーカー「INSTAPUMP FURY」を融合させたフットウェアは、フラットタイプと厚底タイプの2種類が展開される。