チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンス(Children of the discordance)の2020年春夏コレクションが019年10月17日(木)に発表された。
ブランド名にも使われている“DIscordance(不和・非調和)”にいま一度立ち戻った今季。デザイナーである志鎌英明は、2019年秋冬コレクションでも掲げたこの「不和」を引き継ぎ、自分にとって「普通」に服作りをすることで、他人とは調和しない、交わらないという姿勢を再確認した。
“不和”はまず、あらゆる種類のウェアに起用されたパッチワークの表現に見られた。タイダイ、迷彩、ストライプ、あるいはエスニックな模様たち......。シンプルなシルエットのシャツを1つとっても、マルチカラーにしてマルチモチーフが同居するさまは、無秩序の程度を強めている。スリムなパンツも、前と後ろで、膝上と膝下で、激しくほつれたデニム生地とペイズリー柄とを混ぜ合わせた。
とりわけ、2018年秋冬コレクション以降アイコニックに使われているペイズリー柄のバンダナは、トレンチコートやシャツをはじめ、今季も幾多と登場。ウエスタンシャツは、ボディのみならずバックにもバンダナから作ったフリンジをあしらった。使用したヴィンテージのテキスタイルは、およそ2年ほどかけて収集したもの。あくまで量産はせず、無茶なこともしないという信念のもと、時間をかけて生地を集め、それらを贅沢に使ったウェアが、万を期してランウェイに現れた。
春夏らしく、パンツにはショートパンツも幾たびと登場。しかしそこにもスパイスを効かせて。ペイズリーや市松模様など異なるテイストの柄を加え、すっきりとしたシルエットのショートパンツをエレガントに昇華している。
各所に配されたディテールも多彩。シルバーの十字架。だぼつくスウェットフーディにあしらわれたオールドイングリッシュ風アルファベットロゴ。ドラゴンの刺繍......。それらは志鎌が「ガキの頃から」好きだったというファッションのモチーフを、惜しむことなく、そして調和を求めることなく散りばめたかのようだ。
ルック全体でも“不和”が漂う。カーディガンの大胆なペイズリー柄が、フーディとショートパンツの染め模様と激しくせめぎ合う。あるいは、ウェアのモチーフや抜け感あるシルエットがエスニックな雰囲気を醸すも、足元のスニーカーがスポーティでアクティブな気分を高める。相異なる要素を、秩序立てることなく、互いにぶつかりあうそのままの姿で示して見せる。そうした“不和”の姿勢がショー全体で表現された。