メゾン マルジェラ(Maison Margiela)の2020年春夏「デフィレ」コレクションが、フランス・パリで発表された。メンズ・ウィメンズの新作を合同で披露。
メゾン マルジェラが今季フォーカスしたのは、情報が溢れるデジタル時代で、歪められ、改ざんされ、次第に薄れていってしまう私たちの“記憶”。絶え間なく入ってくる新しい情報ばかりを追いかけるのではなく、これまでの歴史を顧みることによって、物事の“本質”に目を向けることの大切さを訴えかけるようなコレクションになっている。
その象徴となっているのが、レイヤードしたオーガンザに無数の丸い穴を空けたトレンチコート。ホールからは、内側にあるストライプ地のファブリックが垣間見える。薄い膜のようなベールを潜り抜け、本質を覗くようにと促しているかのようなピースに仕上がっている。
ランウェイに登場したコレクションピースは、ジョン・ガリアーノによる“ノマディック・カッティング”というテクニックや、“アップサイクリング”といった概念などを反映した前衛的なシルエットであるが、ベースにあるのは誰もが着用したことのあるユニフォーム。クラシカルなテーラリングジャケットやトレンチコートなど、歴史ある伝統的なベーシックウェアを再解釈することで、今シーズンのテーマを浮き彫りにしているようにも感じられる。
また印象的に取り入れられたセーラーカラーのトップスや、スクールユニフォームのようなニットベストは、あらゆる人々の懐かしい記憶を呼び起こす制服であり、ジェンダーレスを象徴するものとしても採用されている。
バッグには2019年秋冬「アーティザナル」コレクションで初披露したジェンダーレスなアイコンバッグ「スナッチト」が登場。“グッド・ルッキング”というスラングから名づけられたこのバッグは、アシンメトリーなシルエットが特徴の折り重ねるタイプのポシェットになっている。小さなハンドルが付いているものの、持ち方は身につける人それぞれが自由に決めて良い。