2012年10月13日(土)、ファセッタズム(FACETASM)が2013年春夏コレクションを渋谷ヒカリエで発表した。東京のストリートカルチャーを落とし込んだクールなファッションを提案し今一番勢いに乗るこのブランドが、今季の東コレのトップバッターだ。
テーマは「FLAVOR」。デザイナーの落合宏理は「テキスタイルや、クラシックなデザインとか色合いとか、昔のものと今現在のものをクロスオーバーさせて、そこへファセッタズムなりの匂い(FLAVOR)とかバランスとかを強引に押し付けて、新しい感覚にできたらなと思いました」と語る。
スタイリングのポイントは、レイヤード。シャツにTシャツ、レギンスにショートパンツ、ワンピースにスカートと、ひたすらかっこよさを追求してアイテムを重ねていった。フロントがカットされたクラシックなトレンチコート、後ろだけのフリルのスカート、短くカットされたブラウス、ストラップの付いたベストなど、レイヤードするために生まれてきたようなアイテムたちは、時代やジャンル、ジェンダーさえも超えて自分のスタイルを楽しもう、という応援のメッセージのようにも思えてくる。
また、私たちの暮らしは二度とはこない大切な瞬間で塗りつぶされている、という感覚を、スプレーで塗りつぶされたグラフィティを使ったテキスタイルデザインで表現。大きく描いた「FACETASM」の文字を生地にインクジェットプリントし、それをカットして服に仕立てている。
ファーストルックでも登場した、ファセッタズムには珍しいパープルは、今季一番強調したかったカラーだ。シューズも色が意識され、ウィメンズのヒールはカラフルなタッセル付。エンジニアブーツをカットしたようなメンズのシューズは、バックルを赤で統一している。
ショーで披露するのは今回で3回目。常に前だけを見てきたファセッタズムにとって「今回のコレクションもすべてが挑戦。やらなきゃいけないこととか、自分たちがやりたいことが自然に出てきているように思います」(落合)。東コレのオープニングを飾るということで演出もちょっと背伸びし、真っ赤な絨毯がしきつめられたゴージャスな雰囲気のランウェイで繰り広げられた。観客席に置かれた「そうだ、いいぞもっとやれ」という強いメッセージは、未来へ向かうブランドの硬い意志表明でもある。