バルマン(BALMAIN) 2020年春夏メンズコレクションが、2019年6月21日(金)にフランス・パリで発表された。
年に一度、“夜が一番短い日”夏至に、パリの市内を舞台に開催される音楽祭を知っているだろうか。夕刻を過ぎると街中にはあらゆるジャンルの音楽で溢れ、人々はアルコールを片手に歌い、それは日付を跨いだ深夜まで続いていく。
一日のショーのラストを飾ったバルマンは、まさにそんな音楽祭の当日真っ只中に開催された。サマータイムで未だに太陽が輝く21:00の会場には、ブランドの頭文字「B」を掲げた巨大なステージが登場。ミュージックフェスさながらに、爆音が鳴り響くそのステージには、アーティストたちの代わりに、バルマンの最新コレクションに身を包んだモデルたちが次々と姿を現した。
ショーの始まりを告げたのは、ジャケット×ボトムスのオールホワイトのルック。エレガントな彼らのワードローブには、モダンな着こなしのアレンジが加えられていて、ベルトの代わりにシャツをまいてみたり、ボトムスの裾をロールアップしてみたり、素肌にそのままジャケットを羽織ってみたり…と、思い思いのスタイリングを楽しんでいる。
ツンと鋭利に尖ったピークドラペルが特徴のドレッシーなロングジャケットには、超ショート丈のボトムスを組み合わせて快活なムードをプラス。しかしシルエットは全体的にゆったりと纏めているので、大人の余裕を感じさせるリラクシングな雰囲気も同時に纏っている。
ショーの中盤に差し掛かると、ランウェイに現れるワードローブは一変。西海岸の爽やかな空気を閉じ込めたような、カジュアルな洋服が次々と登場する。ブルー、パープル、イエローといったポップな色彩のTシャツには、ジーンズやスキニーパンツを組み合わせ。そんな“日常着”にラグジュアリーさを投じるのがアウター群で、テーラリングジャケットのフォルムを踏襲したデニムジャケットや、艶やかな光沢の生地にキルティング加工を施したスタジャンなどが組み合わせられていく。
そんなカラフルで楽し気な洋服が去っていたあと、ランウェイに現れるのは“色を消失”させたブラック又はホワイトのワードローブ。けれどそこに感じられるのは、単調さではなく、むしろ圧倒的なラグジュアリーなムードだ。ブラックのジャケットには、プリントの代わりにスタッズや煌びやかなビジューをたっぷりとあしらって。また装飾の無いワードローブは、単色で纏めることで、その上質な素材の魅力が引き立てられている。
最も印象的だったのは、白の代わりに登場したシルバーのジャケット。小さなミラーを繋ぎ合わせて構築されたそのジャケットは、ブラックのセットアップに合わせることで浮かび上がるような存在感を放っている。未だに煌々と輝く太陽の光を反射させてキラキラと輝くその姿は、これから訪れる夏の合図を告げているようだった。