ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani) 2020年春夏コレクションが、2019年6月17日(月)にイタリア・ミラノで発表された。
今季会場に選ばれたのは、ジョルジオ アルマーニの本社となるパラッツオ オルシー二。かつて17世紀のミラノで最も権威のある貴族邸宅の1つであったその建物は、当時の荘厳な佇まいをそのままに残しており、一歩中に入ると趣のあるドーム型のランタンやゴージャスなフレスコの天井画など、年代を感じさせる装飾が施されている。
ランウェイが現れたのは、そんな歴史深い建築物の敷地内に位置する中庭。ギリシャ神話で現れるような立派なトスカーナ柱、生い茂るみずみずしい緑の葉、そして降り注ぐ太陽の光。そこには、騒がしいミラノの通りからは想像できないほどの優雅な空気が流れている。
ショーの始まりとともに現れたモデルたちもまた、そんな会場にとけこむかのようなエレガントな紳士たち。パンツスーツ×ジャケットという伝統的なスタイルが基本だが、今季はアイテムのデザインや着こなしに現代の遊び心を加えているのが特徴だ。
例えばファーストルックに登場したモデルは、一見クラシカルなスーツスタイルかと思いきや、中に差し込んだベストは着物の襟元を彷彿させるデザイン。またショールカラーというより、ジャケットの襟元全体が裾にかけてひるがえってしまったようなユニークなフォルムのラペルを持つジャケットも登場する。
着こなしにも現代のアレンジを投じて。シャツ×ジャケットという既存のフォーマルなアイディアを打ちこわし、素肌にベストを着た上、もしくは素肌に直にジャケットを羽織っていたりする。それらのピースは、リネンやシアサッカーのような軽やかな素材をセレクトしているため、“シャツ”を纏っているかのような涼し気な印象をもたらす。
それでは“本物”のシャツはどうなっているのかというと、こちらもやはり本来の姿に一捻り加えられている。幾何学模様を配したビッグサイズのシャツがその好例。ショルダーを肘のあたりまで大きく落としたスリーブは、ユニークなシルエットを演出。またフロントのボタンは、ダブルジャケットのように2列に配列させているのが面白い。
カラーはネイビーやベージュ―、ブラック、ホワイトといったベーシックな色合いを基本に。そこに時折、幾何学模様やロゴをあしらって遊び心溢れるスーツスタイルを提案する。ショーの終盤には、そんなプリント柄を使用したショートパンツも登場。Tシャツと組み合わせたラフなスタイルだが、先ほどのスーツの既視感もあり、確かな気品を感じさせる。エレガントなフォーマルスタイルにユーモアを、カジュアルなものにエレガンスを。そんなデザイナーの遊び心が感じられるコレクションとなった。
なお今回のコレクションには、人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のリチャード・マッデンやアスリートのイアン・ソープといった世界中のセレブ達も会場に駆け付けた。その中には、『アベンジャーズ』シリーズ、『スター・ウォーズ』シリーズで知られる名俳優 サミュエル・L・ジャクソンの姿も。サミュエルは「ファッションは“その人が何者であるか”を表してくれるものだと思います。その中でもやはりジョルジオ アルマーニは特別な存在。タフでクールで、着るたびにスーパーヒーローになった気分になれます。」とコメントを寄せている。