展覧会「書物にみる海外交流の歴史~本が開いた異国の扉~」 が、東京・世田谷区の静嘉堂文庫美術館にて開催される。期間は2019年6月22日(土)から8月4日(日)まで。
島国でありながら、古代より他国との往来が途絶えたことがなかった日本。日本文化の根幹を成す漢字・仏教なども“外来文化”であり、日本の歴史と文化は、海外との交流の中で育まれてきたものだと言える。古代以来、日本の文化は大陸や半島の影響を大きく受けており、江戸時代には西洋からもたらされる情報も大きな力を持つようになった。
展覧会「書物にみる海外交流の歴史~本が開いた異国の扉~」では、日本と海外との交流の歴史を“本”を通して振り返っていく。展示会は4つのコーナーで構成。
「Ⅰ これぞ我らがお宝本!-古く日本にもたらされ、読まれ、親しまれてきた本」のコーナーでは、古代、中国からもたらされた書物を紹介。これらは最先端の学問、知識として尊重され、時代を超えて後世に受け継がれてきた。
具体的には、重要文化財『南華真経注疏(なんげしんぎょうちゅうそ)』などを展示。中国古代の思想家、荘周の著作『荘子(そうじ)』の別称であり、兼好法師の『徒然草』にも“好ましい書物”の代表としてその名が登場している。
異国で作られた本には未知の新しい驚きが詰め込まれていた。「Ⅱ 驚きは本の中からやってくる-海外の文化や情報を紹介している本」では、外国の知識や文化などを紹介している本を展示する。
たとえば我が国最初の本格的植物学の紹介本として知られている『植学啓原(しょくがくけいげん)』を展示。天保4年(1833)に完成したこの書物の執筆には、少なくとも5種類以上の洋書が利用されたと考えられており、日本の西洋自然科学の普及に貢献した。
海外の書物の影響を受けて、新しく著された日本の本を紹介するのが、「Ⅲ 新たに花開くもの-海外の本の影響を受けて我が国で著された本」のコーナー。イソップ物語の翻訳物語本として江戸初期に刊行された『伊曽保物語(いそほものがたり)』などを並べる。
展覧会を締めくくる「Ⅳ 橋を架ける『ことば』-辞書と字典」では、異国の言葉を理解するために作られた辞書や字典を展示。江戸時代、活字本として日本で初めて刊行された英和辞典『英和対訳袖珍辞書(えいわたいやくしゅうちんじしょ)』は、安政開国後の英学研究機運の高まりに対応するために作成されたもの。その後明治20年代近くまで英語辞書編集に影響を与え続けた。
【詳細】
展覧会「書物にみる海外交流の歴史~本が開いた異国の扉~」
会期:2019年6月22日(土)~8月4日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし、7月15日は開館)、7月16日(火)
会場:静嘉堂文庫美術館(東京都世田谷区岡本2-23-1)
開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
入館料:一般1,000円、大高生700円(20名以上の団体、200円割引)、中学生以下無料
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)