昭和、平成、そして来たる令和に向かい、日本人男性のヘアスタイルははどのように進化してきたのか、メンズヘアスタイルの変遷を特集。流行のファッションとともに、当時資生堂(SHISEIDO)から生まれたヘアケアアイテムにフォーカスを当て、ヘアスタイルの移り変わりを振り返る。
ミニスカートがブームとなり、若者に勢いが生まれた1960年代。その頃、日本の男性たちは「アイビーカット」に夢中になった。アメリカ東海岸の学生を想起させる、爽やかなショートヘアには、アイビーファッションを合わせて。ジャケット、ボタンダウンシャツ、ネクタイなどを組み合わせたクラシカルな装いに注目が集まり、男性が身だしなみに意識を向けた。
そんな当時の流行品は、香り付きのヘアリキッド。べたつかず髪をキレイにまとめられるだけでなく、同時にほのかな香りを纏わせられるヘアリキッドは、若者を中心に人気を集めた。
ファッションの多様化が加速した1970年代。ヒッピーファッションを筆頭に、サイケデリック、フォークフロア、パンクなど、様々なテイストの洋服が人々の心を掴んでいった。
ファッションの変化とともに男性のヘアスタイルも新しいムーブメントが。これまで女性の髪型と認識されていたロングヘアがメンズも楽しめるものに変わっていく。男性が美容院に通いはじめるようになったのも、1970年代~とされている。
バブルの到来とともに、これまで欧米のスタイルをマネていた若者たちのファッションに変化が生じる。ドメスティックブランドが続々と生まれ、DCブランドが勢いを増した。
ヘア業界では、テクノカットが一大ブームに。もみあげを鋭角に剃り整え、すっきりと刈り上げたヘアスタイルをミュージシャンが取り入れることで、マネる若者も続出した。そんな1980年代、人気を集めたヘアケア製品はムース。泡状の整髪料を発売したのは資生堂が初めてだった。
1990年代後半からはストリート系ファッションの勢いが加速。裏原系、ヒップホップ系、グランジ系など様々なスタイルが生まれることで、ヘアスタイルもより自由に。
特に男性の中で流行したのが「無造作ヘア」。きっちりと毛束をまとめたこれまでのスタイルとは異なり、外はねさせたり、くせ毛風にふわふわとさせたり…毛先を遊ばせたヘアスタイルに人気が集まった。
この「無造作ヘア」を“お手軽に”叶えたのが、メンズヘアワックスの登場。1996年メンズヘアワックスの元祖的存在「ジェレイド デザインワックス」の発売を機に、各ブランドからヘアワックスが続々と発売された。