リック・オウエンス(Rick Owens)の2019-20年秋冬ウィメンズコレクションが、2019年2月28日(木)に発表された。
長く伸びぐるっと丸まった爪、口先でにじんだ赤い血、おでこから飛び出た不思議な突起物。ファッションショーとは似つかわしくない、おどろおどろしいメイクは、意図も簡単に、リック・オウエンスの世界観へ観客を引き込んでいく。
さぞ意表を突くルックが飛び出すかと思いきや、今季のリック・オウエンスは静の部分が多く潜んでいるように見える。モデルたちは、地肌にスイムウェアのように露出度の高いレザーのオールインワンを纏う。そのセンシュアルな姿を覆い隠すかのように、何度も繰り返し登場するのは、かっちりとしたアウターだ。
ファーストルックを含み、シックなテーラードは象徴的。テキスタイルのテクスチャーやその気品を楽しむように華美な装飾物はついていない。しかし、シルエットはアイコニック。ぐんと突き出たパワーショルダーが特徴的で、内に強いものを秘めた「静」の姿を表現しているかのようだ。
パワーショルダーのアウターは、中盤から、隆起部分が肩から腕全体へと移り変わり、羽根の生えたかのようなコート、ジャケットなどが提案された。いずれも構築的なスクエアシルエットであることは変わらない。また、メンズコレクションでも見られた「機能性」を追求させたような、ジップポケットをアタッチしたモデルも登場した。
対峙するように、用意されたのは流線的なドレス。アウター類とは異なるソフトなテキスタイルが取り入れられていて、その柔らかさを楽しむように、身体に巻きつき、左右に広がり、自由気ままな動きを楽しんでいる。
ドレスのフォルムは様々。肩が大きく開いたもの、左右にアシンメトリーに裾が広がったもの、ロング丈やショート丈。いずれも共通するのはドレープがきれいに現れていて、生地の柔らかさとともに女性らしさが伝わってくる。