メゾン マルジェラ(Maison Margiela)の2019-20年秋冬「デフィレ」コレクションがフランス・パリで発表された。
コレクションの起点は、先に発表されたオートクチュール・アーティナザルコレクションから。「デジタル デカダンス」をテーマに、情報飽和の現代を表現したコレクションでは、一面鏡張りの空間で、どれか現実でどれが虚構であるか…本物のわからないカオスな空間を作りだした。
対峙させるように生み出したのが、この2019-20年秋冬「デフィレ」コレクション。カオスな空間からカッティングなどの技術を使って、あらゆるものをそぎ落とし、純粋なもの=本質を突き詰める。このプロセスを「デカダンス」と呼び、コレクションのテーマに定めた。
1つのアプローチとして、人が袖を通すことを考えて立体的に作られる、洋服の作り方そのものにもメスを入れた。アイテムは3Dから2Dピースへ変化。厚手のニットはふっくらとしたテキスタイルを潰し、平面的なニットに。フラットカットと呼ばれる手法で仕立てられたドレスは、前面と後面をピタッとくっつけたような平たい形に変化している。
また、パンツ、スカート、コートなど洋服のカテゴライズを取っ払い洋服そのものと向き合う手法がある。本来男性のトラウザーであったものは、着る位置を移動させてケープドレスに変身。袖口のボタンなどのディテールに、元の形の余韻を残したジャケットも、ドレスへと様変わりしている。洋服の概念そのものを取り去ることで、紳士服・婦人服の線引きさえも消し去っていくのだ。
前後で印象を変え、どちらが本物の服であるか揺さぶりをかける視点もあった。正面から見ると、フェルトやウールのヘリーボーンなど、紳士服に見られるオーセンティックな素材でできているのに、背面ではピンクフラミンゴをモチーフにしたエキセントリックなプリントのネオプレンを起用。二面性を持たせることで、洋服そのものをきちんと見る視点を持つことを訴えかける。