トム ブラウン(THOM BROWNE)の2019-20年秋冬コレクションが、フランス・パリで2019年3月3日(日)に発表された。ドラマティックな演出のもと、コレクション発表するトム ブラウン。今季はオフィスを舞台に、一つのストーリーを紡ぎ出す。
ランウェイの中央に設けられたオフィス。規則的に並べられたデスクの上には、テープライターやスタンドライト、家族写真などが並べられている。トップバッターをきったモデルは、グレーのパンツスーツとベージュのステンカラーコートを纏い、片手には大きなレザーバッグが。その様はまさにサラリーマンといった感じの男性的な装いだ。ランウェイを闊歩した後、オフィスに入りマイデスクに着く彼女。同時に”チーン”とベルを鳴らし、同僚を呼ぶのだった。
後を追うように登場したモデルは、ユニフォームのように全く同じ格好をしている。ジャケットの下に忍ばせたカーディガンやスクエア型のアイウェア、さらにボトムスのレングスやコートのリボンディテールまで一緒である。
“出勤”したモデルたちは、また”チーン”というベルの音に合わせて、一斉にコートを脱ぎ、ジャケットを脱ぎ、デスクに座って、テープライターを打つのだった。
一つの物語が終わると、最新のコレクションのスタート。先のオフィスワーカーたちのユニフォームと同じ、スーツ&コートスタイルが展開されるが、デザイン、素材で個性を引き出す。ジャケットはホワイトのパイピングが施されたり、ボディにニット地を使用したり。コートは袖口、裾にファーをあしらうことで温かみをプラスした。
同時にトロンプルイユルックも登場。同じようにグレーのセットアップスタイルだが、全てだまし絵になっていて、ベースはIラインのドレスである。
会場中央で働いていたオフィスワーカーたちが、帰宅すると…コレクションピースは一転。色、柄に遊びを加えたトラッドスタイルに進化する。
グレー&ホワイトの落ち着きのあるカラーで統一されていたランウェイに、レッド、ブルーなど、トムブラウンらしい色彩が加わる。ジャカード地やスパンコール刺繍など、素材もアップデートされ、ユニフォームに一気に華やぎが加わる。定番の動物モチーフは今季は鴨。織りやエンブロイダリーで表現され、ジャケットの上から顔を出した。
時の流れとともに華やぎは増していき、トロンプルイユドレスは、総スパンコールのゴージャスなものにも進化。シンプルの極みだったコートも、クロコダイル風のデザインに変わり、上にはパールの刺繍が施されている。