ユリウス(JULIUS)は、2019-20年秋冬コレクションを発表した。
コレクションのイメージは、カタストロフィとデジタル。体制によって拘束され、フィジカルもメンタルも分断されている世界の現状を投影した。無骨なサイバーパンクの雰囲気と、ハードコアなフェティシズムを織り交ぜたウェアは、喧騒に包まれた東京の都市空間を背景に、強い主張を放っている。
テーマを象徴するディテールは、コートやジャケットに施された“切れ込み”。オーバーサイズのダウンコートには、布の流れに逆らうような角度で切れ込みが入っている。重力で下へと落ちようとする生地の動きによって、服に生まれるのは歪み。予定調和に逆行するようなアナーキーさが見て取れる。
ダウンコートにはウェビングベルトが取り付けられており、前を閉めると異なる表情を見せる。生地の広がりに外部から制約を与えるウェビングコードは、社会の閉塞感を表しているかのようだ。様々なボディバッグや、パンツの上からレイヤードした半身のパンツも同様に、ある種拘束具であるかのようなイメージを思い起こさせる。
さらに、パーカーにプリントされたグラフィックや、無秩序な配置でポケットをあしらったベストなども退廃的なムードを描き出している。
また、素材のシアーな質感も今シーズンの特徴。レザーのライダースジャケットに合わせたブラックのパンツは、造形の複雑性と光沢感が相まってノイジーな印象に。アシンメトリーなパターンのレッドのコートは、繊細な光を纏いながら、しなやかにドレープを描いていく。輝きの繊細さは反骨精神と同調しながら、分断された世界に対する緊張感を高めているかのようだ。