伝説の映画館「グリーン・ハウス」についての証言を集めたドキュメンタリー映画『世界一と言われた映画館』が、2019年1月5日(土)より有楽町スバル座ほか全国の劇場にて順次公開される。
上映ベルの代わりに館内に響くのは、グレン・ミラーによるスウィングジャズの名曲「ムーンライト・セレナーデ」。『日曜洋画劇場』の解説を長年務めた映画評論家・淀川長治が“世界一の映画館”と評した伝説の映画館「グリーン・ハウス」は、“西の堺、東の酒田”と称された商人の町・山形県酒田にあった。
回転扉から場に入るとコクテール堂のコーヒーが薫り、バーテンダーの居る喫茶スペースが迎える。少人数でのシネサロン、ホテルのような雰囲気のロビー、そしてビロード張りの椅子など、その当時東京の映画館でも存在しなかった設備やシステムを取り入れたそこは、20歳という若さで支配人となった佐藤久一が作り上げた夢の映画館。
多くの人々を魅了した「グリーン・ハウス」だったが、多くの家屋や人々に被害をもたらした1976年の大火災・酒田大火の火元となり、焼失してしまう。それから40年あまりの時を経て公開される本作は、かつて「ムーンライト・セレナーデ」が流れたその場所に集った酒田の人々の思い出を、名優・大杉漣のナレーションにのせて贈るドキュメンタリー映画だ。
本作の公開を記念して、支配人・佐藤久一の波乱に満ちた生涯を赤裸々に記したノンフィクション伝記『世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか』(著・岡田芳郎)の再販が決定。如何にグリーン・ハウスと佐藤が周囲から愛され、特別な存在だったかを理解出来る本書も、映画と合わせてチェックしてみてはいかがだろう。
「...生きることの悩み、苦しみ、悲しみ、そして喜びなどの一切の縮図が映画館の中に繰り広げられる。」こう記した佐藤久一が支配人を務めた、山形県酒田市のグリーン・ハウス。映画評論家・淀川長治氏が「世界一の映画館」と評し、足繁く通ったというその映画館は、来館した人々の心を掴む様々な工夫と設備を取り入れた希有な場所として愛された。しかし、グリーン・ハウスが火元となった”酒田大火”により、甚大な被害を町にもたらして焼失してしまう。そして幾年月も過ぎた今、酒田の人々がグリーン・ハウスと歩んできた自らの歴史を振り返り始める...。
ドキュメンタリー映画『世界一と言われた映画館』
公開日:2019年1月5日(土)
語り:大杉漣
プロデューサー:髙橋卓也
監督・構成・撮影:佐藤広一
証言協力:井山計一、土井寿信、佐藤良広、加藤永子、太田敬治、近藤千恵子、山崎英子、白崎映美、仲川秀樹