リロト(liroto)の2019年春夏コレクションが、2018年10月19日(金)に北青山・Palm maison Tokyoで発表された。
昨シーズン、ファーストコレクションを発表したことが記憶に新しいリロト。ランウェイの上で朗読を繰り広げるなど、その斬新な演出で、デビュー戦をしっかりと人々の脳裏に焼き付けた。
今季デザイナーの富塚尚樹が発表の場に選んだのは、北青山に位置する小さなフロア。会場にぎゅうぎゅうに押し込まれた群衆の中で、“今回は一体どんなショーを観れるのだろう”と、期待に胸を膨らます。やがて会場のライトの消灯の合図と共に、ショーがスタートした。そう、それはとてもシンプルな方法で。
観客席と観客席の間に作られた手作りのランウェイに、モデルたちが現れた。会場に響くのは、富塚のお気に入りのアーティスト・カネコアヤノの弾き語り。柔らかな歌声で歌詞にのせるのは、少女のようなピュアな感情と、時に毒っぽいスパイス。その詩的で独特な世界観が、富塚の思い描くクリエーションと重なり合ったという。
ファーストルックから続くのは、そんな世界観を体現したかのようなドレス群。フリルをたっぷりとあしらっているけれど、背中に大胆なカッティングが入っているピースや、バレリーナのようなチュールが付いた前身頃に、チェック柄のオーガンザを差し込んで、パンキッシュに仕上げているピースなど。甘さ×辛さが入り混じった空気感を纏っている。
カラーパレットでも、その二面性を表現した世界観が再現された。小さなリボンと花のモチーフをたっぷり散りばめた、純白のカットソーは、少女のようなピュアな印象。しかしその次に現れたのは、ブラック×赤をミックスした同デザインのピースで、その色彩が変わるだけで、毒々しさに満ちたピースへと姿を変えているのが分かる。
今季のショーについて、“特にテーマは設けてない”と話す富塚。2回目となるコレクションの発表の場では、何か特別な演出で人々を魅了するのではなく、じっくりと洋服を鑑賞できるような方法を選びたかったという。あっと驚くような瞬間こそはなかったものの、“リロトワールド”をたっぷりと味わえたコレクション。観客たちは満足した表情で会場を後にした。