特別展 「大哺乳類展2」 が、東京・上野の国立科学博物館にて2019年3月21日(木・祝)から6月16日(日)まで開催される。
特別展「大哺乳類展2」は、9年前に好評を得た特別展「大哺乳類展 陸のなかまたち/海のなかまたち」ぶりに“哺乳類”にフォーカスする展覧会。今回は、500点以上の剥製や骨格標本から、哺乳類の生き残り戦略について迫っていく。
地球という惑星が誕生して以来、その歴史とともに哺乳類は多様な能力を獲得し、これまで地球上のほとんどの環境に適応してきた。そのなかでも特徴的なのが、走る、跳ぶ、木に登る、泳ぐといった移動運動であるロコモーション。哺乳類のロコモーションは、同じ脊椎動物である魚類や爬虫類とはまったく異なり、多様性と自由度に富み、様々な環境に適応する能力をもっている。
本展では、陸と海の哺乳類のロコモーション能力を、標本や最新の研究に基づいた映像で説明する。会場中央には「哺乳類大行進」として、科博の重要標本群の一つである「ヨシモト・コレクション」をはじめとする哺乳類の剝製標本150点以上を一堂に展示。会場では、原始的な特徴をもつ哺乳類とされる単孔類や有袋類から、アフリカや南米を起源とするグループ、我々になじみのある哺乳類である齧歯(げっし)目、霊長目、食肉目、鯨偶蹄(げいぐうてい)目といったものまでが、分類群ごとに分けられている。
具体的には、チーターの走り方、ブラックバックの跳躍力、テナガザルのブラキエーション(樹上運動)、イルカやラッコの遊泳などがトピックとしてあげられている。これらを、山口大学共同獣医学部の協力により、最新の解析映像も駆使して解説。また、陸棲哺乳類最大のアフリカゾウの全身骨格や、体長16mのマッコウクジラの半身を模型で再現したユニークな骨格、12mのセミクジラの全身骨格などを初公開する。
もうひとつの重要な項目として、哺乳類がここまで繁栄し、生き残ってきた理由にも注目。会場では、生きるために必要不可欠である「食べる」、すべての生物の目的である子孫を残すための「産む・育てる」という“生き残り戦略”を紹介していく。
「食べる」では、草食、肉食、昆虫食など、食べるものによって異なる歯やあごの特徴を200点近い頭骨を揃える。一方「産む・育てる」では、オスがメスへアピールするために獲得した戦略をはじめ、胎盤や哺乳、生まれたコドモの生き残り戦略にも着目する。
人間、つまりは自分も哺乳類であるはずなのに、哺乳類のことは意外と知らない。地球という大きい惑星でともに生きる哺乳類の仲間に出会い、知り、学ぶことのできる貴重な機会となりそうだ。
また映画『海獣の子供』の公開に先駆け、「大哺乳類展2」と同作がコラボレーションした特別企画も用意。会場には、映画の中に出現する“海獣”=海の哺乳類たちが多数登場。全長16メートルに及ぶマッコウクジラの骨格模型や、初公開となる12メートルに及ぶセミクジラの骨格など、スクリーンから飛びだしてきたような大迫力の展示が並ぶ。
さらに動物を愛するクリエイター達による作品が並ぶ特別エリア・「アート・オブ・ママルズ」には、映画『海獣の子供』の原作者・五十嵐大介による貴重なカラー原作や、映画カットを使用した初公開映像など、特別展示もずらり。さらに会期中の4月17日(水)には、原作者・五十嵐大介と映画監督を務める渡辺歩、「大哺乳類展2」の展示監修を担当する田島木綿子博士によるスペシャルトークイベントも開催される。