ステア(STAIR)の2019年春夏コレクションが、2018年10月15日(月)、渋谷・CARATO71にて発表された。
ステアの今季のコレクションテーマは「MOMENT」。写真家である父の影響から、デザイナー・武笠綾子が手に取ったのは、アメリカの写真家・エドワード・ウェストンのヴィンテージ写真集。レンズ越しに映し出された、古くも美しい世界に感銘を受けて、その“レンズ越しの世界観”をテキスタイルやカラー、シルエットに落とし込んで表現する。
レンズの映し方次第で広がる、全く異なる風景。写真の持つその面白さは、連続したピースで分かりやすく表現された。
例えば、ファーストルックのスカートに現れたオリジナルのジャカード生地は、次のピースでトップスとなって再び登場。またショート丈のワンピースに使用されたチェック柄のテキスタイルは、アシンメトリーなロングスカートにも起用されている。同じテキスタイルの連続であっても、その手法に捻りを加えるだけで、観る者にフレッシュな印象を与える。
写真集に映し出された砂漠や、植物の曲線的なラインは、洋服のシルエットとなって蘇る。スカートには、プリーツをあしらってうねりを強調。アシンメトリーなドレスには、繊細な光を放つスパンコールを流れるように散りばめて、その優雅なフォルムを引き立てた。
テキスタイルは、“レンズ越し”を意識して、シフォン生地や、網目模様のテキスタイルなど、肌を透かせる素材が多用されている。
そこに彩りを与えるのは、アイボリーやブラックといったベーシックな色合いに織り交じる、色鮮やかなメタリックカラー。ブルー、ピンクといったカラーパレットは、どこか懐かしさを感じさせる色彩で、モデルがランウェイを横切るその一瞬に鮮烈な印象を与える。それはまるで、カメラが“一瞬(モーメント)”を捉える際の出来事を体感しているかのようだった。