「ラファエル前派の軌跡展」が、東京・三菱一号館美術館で、2019年3月14日(木)から6月9日(日)まで開催される。その後、大阪に巡回し、あべのハルカス美術館にて2019年10月5日(土)から2019年12月15日(日)まで開催される。
1848年秋に、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイなど7名の画学生が、英国美術の刷新を目指して前衛芸術家集団「ラファエル前派同盟」を結成。彼らは、ラファエロ以降の絵画表現を理想とする、美術学校「ロイヤル・アカデミー」の保守的な思想こそが、英国の画家を型通りの様式に縛りつけ、真実味のある感情表現から遠ざけてきた、と主張し、ラファエロ以前に回帰する必要性を訴えた。
ありふれた感傷的な表現から絵画を解放し、中世美術のように分かりやすく誠実な表現を取り戻そうとした「ラファエル前派」の画家たちは、英国美術史に極めて大きな功績を残したといえる。
「ラファエル前派の軌跡展」では、英米の美術館に所蔵される油彩画や水彩画、素描、ステンドグラス、タペストリ、家具など約150点を通じて、「ラファエル前派」の軌跡を辿り、美術史に与えた影響を紹介する。また、ヴィクトリア朝の英国を代表する芸術家の作品を通して、「ラファエル前派」をいち早く擁護した美術批評家、ジョン・ラスキンの美学にも迫る。
ジョン・ラスキンは、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの作品にも価値を見出し、擁護するために権威ある著作集「現代画家論」の第1巻を発表する。ターナーは当時、風景画家として認知される一方、理性を取り払ったかのように荒々しい、新たな表現を実践したことで強く非難されていた。
エドワード・バーン=ジョーンズは、「ラファエル前派同盟」の作品に感銘を受けて芸術を志した画家。ロセッティに弟子入りし、師や親友のウィリアム・モリスとともに、トマス・マロリー著『アーサー王の死』をテーマにした壁画を描いた。ラスキンからも助言を受けていたバーン=ジョーンズは、新たな様式を他に先駆けて追求。次第に、作品の物語性よりも形式の完成度に重きをおいた作品制作に励むようになり、洗練された画風を習得した。
バーン=ジョーンズと共同で、多くの作品を手掛けたウィリアム・モリスは、詩人としての評価を確立するとともに、家具やステンドグラス、壁紙、捺染布地や織物などの装飾芸術を扱う「モリス・マーシャル・フォークナー商会」を設立。また、美しいデザインの書物を生み出すために、私家版印刷工房「ケルムスコット・プレス」を開設する。やがて、個人の手仕事にこだわり、工業生産の在り方に疑問を呈した「アーツ・アンド・クラフツ運動」を主導するようになる。
ラスキン生誕200年記念 ラファエル前派の軌跡展
会期:2019年3月14日(木)~6月9日(日)
場所:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、6月3日~7日は21:00まで)
休館日:月曜日(但し、4月29日、5月6日、6月3日とトークフリーデーの3月25日、5月27日は開館)
入館料・当日券:一般 1,700円、高校・大学生 1,000円、小・中学生 500円
※障がい者手帳をお持ちの方は半額、付添の方1名まで無料
前売券:一般のみ 1,500円
※ペア券はチケットぴあでのみ販売。
※大学生以下、ペア(一般)は前売券の設定なし。
前売券発売日:2018年10月17日(水)~2019年3月13日(水)
※ローソン/ミニストップ、チケットぴあ、セブンチケット、三菱一号館美術館チケット購入サイトWEBKET(QRコード読み取り)にて発売。
※絵柄入りの前売券は、2018年10月17日(水)~2019年2月11日(月・祝)までStore1894(三菱一号館美術館内、休館日は美術館に準ずる・Store1894のみの利用可)で販売。
東京展問い合わせ先TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
■アフター5女子割
第2水曜日17:00以降/当日券一般(女性のみ) 1,000円
※他の割引との併用不可。
※利用の際は「女子割」での当日券購入の旨、申し出が必要。
■巡回
〈大阪展〉
会期:2019年10月5日(土)~2019年12月15日(日)
場所:あべのハルカス美術館
住所:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1‐1‐43 あべのハルカス16階
開館時間:火~金 10:00~20:00、月土日祝 10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:一部月曜日・展示替え期間(不定期)