ロシャス(ROCHAS)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。
クリエーションの起点となったのは、ブラジル生まれのイタリア人女優フロリンダ・ボルカン(Florinda Bolkan)。その才能を見出され南米からイタリアへと渡り、俳優業での活躍をみせた人物だ。特に、プライベートでみせるエレガントなファッションスタイルに好奇心と興味を持ったアレッサンドロ・デラクアは、彼女の私服を着想源にデザインを進めた。
キーワードは野性的かつエレガントであること。そして、ロシャスならではのクチュール的な美学は華美な装飾をそぎ落とし、素材に徹底的にこだわることで発信する。
リボンやビジューなどロシャスらしいデコレーションはかなり控えめだ。代わりに登場したのは、アニマル模様。フロリンダ・ボルカンが好んだというアニマル模様は、ロシャスの新作コート、ドレス、スカートとなり新しい命を授かる。
エアリーで軽いタフタを使ったコクーン型コートや、金糸を交えたジャカードのドレスには、レオパードのモチーフを。ポニーヘアーのコートの上に贅沢にも豹の模様をプリントしたものもある。ロシャスのアーカイブからヒントを得て作ったベルベットは、毛足の寝た非常に珍しい素材。包み込まれたくなるソフトな素材には、一つひとつ手作業でフェザーを配した。
新しい女性のエレガンスとして提案されたのは、ワーキングウーマンのスタイル。フロリンダ・ボルカンのような野心にあふれる姿をパンツスーツにのせて、現代風にアレンジした。さらりと羽織るのはギャバジンのコート。凛とたたずむ立体的なシルエットが魅力的だ。