コム デ ギャルソン・オム(COMME des GARÇONS HOMME)の2019年春夏コレクションは、カジュアルとフォーマルのバランスが絶妙。おそらく、ベースとしているのは紳士的かつフォーマルな要素でありながらも、ブランドの真骨頂であるミリタリー感を色濃くしている。
ボックスシルエットのジャケットは、いつもより細身の設定と思いきや、中に忍ばせたドローコードでシルエットに強弱をもたらしている。ジャケットのパターンは至ってクラシカルで、だからこそ腕のドッキングに違和感がない。まるで50年代を想わせるレトロなパターンから成るジャケットは、腕がMA-1の素材なのに、あたかもそれが当然であるみたいだ。
ジャケットはアウトポケットで仕立てることでカジュアルなエッセンスを強調。上質なウールにはほんのりシワ加工を施して、ステッチにもギャザリングをプラスする。クレイジーパターンのカバーオールは、ユーズド感たっぷりで、幾何学模様に切り替えたジャケットはまるで大胆な迷彩柄のよう。小さな部分にこそコム デ ギャルソン・オムらしさが匂う。
フォーマルシャツによく見るストライプのテキスタイルは、細かいアレンジでミリタリーにシフト。まるでパズルのように色を切り替えたり、グログランテープを走らせたり。スカイブルーに栄えるカーキは、遊び心の現れだ。
ボトムスは、クロップド丈のスラックス。特に今季はワイドストレート、あるいはテーパードが主流だ。また、股上を深く設定して、故意にゆったりと身に着けることで、クラシカルなジャケットもどこかヌケのあるスタイルへと転換。時にはそのルーズさが、男くささを感じさせる。