ジャンポール・ゴルチエ ムッシュー(Jean Paul GAULTIER monsieur)の2012-13年秋冬コレクションは、観客をロンドンの街路 —ロンドン警視庁とバッドボーイ(被告側)という対極の世界の中間にある場所— に誘い込んだ。対極した要素の衝突から、放浪するダンディーな男達と伝統的でクラシック感溢れる仕立て、そこへよりカジュアルなエッセンスの融合を誕生させた。ランウェイで使われたBGMの1つ『Like A Hobo』(CHARLIE WINSTON)は、シャーロック・ホームズの作中に登場する放浪者の様なムードを表現している。
煉瓦やタトゥー、グラフィティのプリントアイテムが印象的。またカモフラージュ柄もトラディショナルな英国風の要素と融合され、カジュアルとクラシックの絶妙なバランスを演出した。
ニットやロングスカート、レザーパンツ等、ゴルチエのアイコン的なスタイルも提案。バージン・ウール、カシミア、ゴート・ファーやミンクなど高級素材を贅沢に使ったコートをスタイリングすることで、ラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。
カジュアルなアイテムのディテールには、折り畳んでしまい込める様なデザインを多数展開。実際の機能性だけではなく、デザインも追求され、ファスナー付きポケット、金具付きストラップやボディピアス型留め具などをポイントとして用いている。また、数日後に発表されたオートクチュール・ショーではエイミー・ワインハウスがテーマに用いられ、メンズとクチュールのショーを通じてゴルチエなりの「イギリス」への解釈が見受けられた。