世界的に有名な色見本帳メーカー「パントン(Pantone)」が、2000年以降毎年発表している「年の色」。2017年の年末に発表された2018年のトレンドカラーは、宇宙の神秘を感じさせる"ウルトラバイオレット"だった。
今回は2018年春夏コレクションの中から、ウルトラバイオレットやバイオレットを使用した有名ブランドのルックを特集する。
まずウルトラバイオレットという色について、パントンは「ブルーベースのパープル」と定義づけている。淡く明るい色がメインになりがちな春夏ファッションにおいて、宇宙空間を連想させる深みのあるカラーをどのように取り入れ、コーディネートしているのかを見ていこう。
春夏におけるバイオレットの活用法として、シースルールックのアクセントに使用する方法がある。カルバン・クライン 205W39NYC(CALVIN KLEIN 205W39NYC)の2018年春夏コレクションでは、ホワイトカラーの下地とブラックシースルー素材を合わせたワンピースのアクセントとして、シューズにバイオレットを用いた。比較的明度の高いバイオレットのショートブーツが、涼しげで落ち着いたトーンのワンピースと合わせても暗くならないのが特徴だ。
バイオレットの色の深みを利用し、ブルーカラーとミックスすることで一気にリゾートルックへと変貌を遂げたのは、サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)2018年春夏コレクションのルック。サテンのような滑らかな肌触りの生地に、コズミック柄にも、海の波しぶきにも見える涼やかなカラーリングを施した。ゆったりとしたキャミソールドレスが、避暑地でのバカンスを楽しむ女性を彷彿させる。
これから梅雨シーズンがやって来る。毎日曇り空ばかりで憂鬱な気分になってしまうことも。そんな時は、ヴェルサーチ(VERSACE)2018年春夏コレクションの紫陽花のように美しいブルーパープルをファッションに取り入れてみては。重い曇天に映えるダークトーンパープルは、梅雨の肌寒い日のジャケットやタイツにブラックでは重すぎる、という問題を解決してくれるだろう。
バイオレットとブラックのカラーコーディネートはランウェイ上でよく見られる。しかし、その多くは秋冬コレクションにおいて。そんな秋冬王道カラーをサンローラン(Saint Laurent)2018年春夏コレクションでは、布地の範囲を最小限に抑え活用した。
大胆に肩を出したバイオレットのカットソーは、胸元から袖口まで大きくボリュームを持たせた。対するブラックのショートパンツは、ベルベット素材で品のある仕上がりに。ピンク味の強いバイオレットとツヤ消しブラックの組み合わせは、女性らしい妖艶な色気を引き出した。
春夏コレクションでは、夏らしく太陽の光に負けないエッジィなコーディネートが多く見られた。その中でも、ウルトラバイオレットを使用したグッチ(GUCCI)2018年春夏コレクションのインパクトあるルックが一際目を引く。
歌手プリンスを彷彿とさせる全身パープルは、ジャケットにはシルク、パンツにはベルベットと異素材を組み合わせた。グリーンの蛇が巻き付くようなデザインがジャケットに施されている。バイオレットにライトグリーンを合わせることで、1960~70年代のサイケデリックな雰囲気を漂わせる奇抜なルックとなった。