細田守監督3年ぶりの監督作となる、映画『未来のミライ』が、2018年7月20日(金)より全国東宝系にて公開される。
『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』、そして『バケモノの子』と日本を代表するアニメーション作品を世に送り出してきた細田守。ヒットアニメーション映画を続々と作り出す細田監督は、国内のみならず海外でも注目を集める人物だ。
新作『未来のミライ』 は、『バケモノの子』同様、細田自らが原作・脚本を担当。すでに88の国と地域で公開が決定しており、第71回カンヌ国際映画祭では、1,609本もの応募作品の中から選ばれ「監督週間」として世界初の上映を行った。全20の作品の中で、アニメーション作品が選出されたのは、細田監督のみ。改めて細田守という名を世界にとどろかせた。第76回ゴールデン・グローブ賞においては、惜しくも受賞を逃したが、アニメーション映画賞にノミネートされる快挙となった。
細田守監督3年ぶりの新作は「きょうだい」の物語だ。主人公のくんちゃんは、両親の愛情をいっぱい受けて育った4歳の甘えん坊の男の子。しかし、くんちゃんに妹が出来るとその生活が一変する。生まれたばかりの妹に両親の愛情を奪われ、初めての経験に戸惑うくんちゃん。
そんな彼のもとにやってきたのは、自分のことを「おにいちゃん」と呼ぶ不思議な少女“ミライちゃん”だった。未来からやって来た妹・ミライちゃんに導かれ、時をこえた家族の物語へ旅立つ。それは小さなお兄ちゃんの大きな冒険のはじまりだった。
公開に先駆け、細田守監督にインタビューを実施。最新作『未来のミライ』の制作秘話や作品にかける思いについて話を聞いた。
Q.映画『未来のミライ』で細田監督が目指したストーリーはどんなものでしたか。
様々な人が自分の子供時代を思い浮かべたり、自分の身近な家族を思い浮かべながら見る作品。ストーリー展開を子供の視点から描く作品は過去にないので描いてみたいと思いました。
Q.そのきっかけ何でしょうか。
それは息子の一言でした。ちょうど息子が3歳。下の子が生まれた時期でした。
毎朝、僕は息子に聞くんです。「今日はどんな夢をみたの?」って。あるとき「大きくなった妹に会ったよ」って息子が言ったんです!いつもは「電車に乗ってた」とか言うのに…
「妹が大きな赤ちゃんになっちゃったの?」と聞いたら「違う、お姉ちゃんになった」って。自分の妹の成長した姿に会ったって言うんですよ。
「え、面白い!」って驚いて。妹はまだ小さな赤ちゃんなので、どんな女の子になるかも分からない時期です。なんか将来の娘に会ってみたいじゃないですか。夢を見た息子を本当に羨ましく思いました。
Q.息子さんの夢をきっかけに作品制作を始めたのですか。
はい。そこから想像し始めたのが始まりです。息子に「大きくなった妹と会って何したの?」って聞いたら、そこはいつもの回答で「一緒に電車に乗った」って答えるんですよ。「あ~やることは変わんないんだな」って思いながらこのエピソードも劇中に取り入れました。
奥さんにその話をしたら「え、でも私はまだ小さいままがいいな…」って言われてしまい、この言葉もセリフとして取り入れました。
Q.お子さんの夢から広がっていったんですね。
ただ始めてみると、幼児の男の子を主人公にするってことはとてもチャレンジングでして…。そもそもなんですが、男の子の幼児を主人公にした作品というのは、世界の映画史の中を探してもあまりないんですよ。『クレヨンしんちゃん』は5歳児なんですが、それぐらいしかないです。
逆に、主人公とは少し違いますが、メインキャラクターではある『となりのトトロ』のメイちゃん、ほかには『ミツバチのささやき』のアナ・トレント、『ロッタちゃん はじめてのおつかい』のロッタちゃんなど女の子の幼児が主人公の映画はあるんですよね、面白いことに。
そういう点からスタッフも当然不安がる。主人公は4歳の男の子と話したときなんて、誰が見るんですか?無謀だ、挑戦的だ、子供が見るんですか?とか言われてしまいました。