ヴァレンティノ(VALENTINO)の2018-19年秋冬メンズコレクションが、2018年1月18日(木)にフランス・パリで発表された。
ピッチョーリの繰り広げるクリエーションの世界が、今季はロマンティックとパンクという相反する側面をもち、大きく花開いた。彼自身が着たいものを制作したというワードローブは、まるでオートクチュールのような繊細さを纏いながらも力強く、多様性に満ちている。
何よりもまず最初にピックアップしたいのは、モンクレール(MONCLER)とのコラボレーションダウン。ひとつは、ヴァレンティノの象徴を凝縮したモデルで、アイコニックなカラーであるレッドを内側に取り入れた。そして、ピッチョーリ就任以来登場し続けている「VLTN」のロゴを、フロントからバッグをぐるりと取り巻くように配している。一方で、ロングダウンをベースに、緻密なキルティングによる模様を描いたモデルは、まさにヴァレンティノだからこそ成し得る、職人技の光る逸品。それぞれ、内側とアーム部分には、ダブルネームのロゴがあしらわれている。
特徴的なディテールとして、先ほどダウンで登場したキルティングと同じクチュールライクな技法が冴えわたっている。例えば、ダブルフェイスのコートの模様は、すべてインターシャの技法で、まるでパズルを組み合わせるかのように立体的に模様を構築している。あるいは、その上からすべて手作業でビーズをのせ、エレガントなムードをより高めた。
花や星といったドラマティックなモチーフに加えて、タイガーとドラゴンが採用されているが、これは1967年にヴァレンティノがコレクションで発表したモチーフの再登場である。おそらくこれは、見知ったものを未だ見ぬ領域へと持ち込み、新たな伝統を作るという、今季掲げたパンクの精神をあらわした表現ではないだろうか。
スタイリングは、クラシックとスポーティの交錯による。アウターはチェスターコートや袖のないケープコートなどをベースに捻りを利かせ、ケープコートにはナイロン素材を採用し、ステンカラーコートはパネル式のディテールで、サイドやベンツ部分をスナップボタンで留めることで形を成す。そのため動きにも柔軟で、ウールとは思えないほどの軽やかさで風の動きに対応し、エレガントなシルエットをもたらす。
また、トラックスーツをプルオーバーニットとレイヤードするという、自由な着こなしも面白い。その襟元には、ハートや星のアクセサリーを飾り、少しだけ遊び心も加えている。足元は、スニーカーが主軸で、ドローコードをシューレースの周りから、かかと部分にかけてぐるりと配したハイテクモデルを提案。細身のスラックスから丈の長いワイドなトラックパンツに至るすべてのボトムスの延長線上に存在している。