2012年3月23日、フェノメノン(PHENOMENON)の2012-13年秋冬コレクションが発表された。ファセッタズムとのダブル・ヘッドライナー・ショーで発表された今季のコレクションのテーマは「NOSTALGIA」。昔を思い出す、懐かしいカラーリングのクラシックスタイルが、現代的アレンジにより提案された。BGMのヒップホップも、1960~70年代のジャズやソウルをベースにした、レアなグループによる名盤なのだそう。今聞くと、逆にフレッシュでもあるそのサウンドが、会場のノスタルジックなムードにひねりを効かせている。
暗いランウェイを行くモデルを、サーチライトが優しく照らし出す。レトロでダンディなプリントのシャツをウールのパンツにイン。ドレッシーなノーカラーコート、ドラマティックな紅葉と馬のグラフィックをプリントしたブルゾン、赤いステッチのピーコートなど、いつもよりシックでエレガントな雰囲気に包まれている。
フェノメノンならではの色彩感覚とミックス感覚が今季も冴え渡る。シックな配色の中に映える鮮やかなオレンジやグリーン。ダウンベストとウールのフードコート、スポーティーなブルゾンとレザージャケットを半分ずつ組み合わせたり、MA-1にダッフルのトグルボタンを付けてみたり、ビッグボリュームのTシャツをグレンチェックのウールやファーなどアウターに使う厚手の素材で作ってみたり、ジャンルや時代を超えたアイテムが、新しいスタイルを誕生させた。
トラッドなジャケットとショートパンツにカラフルな縄編みニットのレギンスを合わせたり、ユニークなアイディアに溢れたスタイリングは、デザイナーのオオスミタケシが自ら手掛けた。ラストルックが去った後、明るく照らされたランウェイに枯葉が舞い、Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2012-13 A/Wのフィナーレを飾った。