2017 Tokyo 新人デザイナーファッション大賞のプロ部門デザイナーによるジョイントショーと同大賞アマチュア部門ショーを2017年10月18日(水)に、東京・渋谷ヒカリエにて開催した。
プロ部門は、自身のブランドビジネスを行っている若手デザイナーに向けたファッションアワード。今回は5名のデザイナーが2018年春夏コレクションを発表した。
今回の審査で最高位の都知事賞を獲得したキディル。デザイナー・末安が90年代に体験してきた、ハードコアパンクやグランジ、グラフィティ、スケートボード、文学といったカルチャーを取り込み、現代の新しい精神で服を作るブランドだ。
ショーでは、”パンク”を感じさせるコレクションを発表した。チェック柄や写真をプリントしたグラフィックTシャツ、そして首にはスタッズが配されたチョーカー。そんなパンク・スタイルを、キディルらしいオーバーサイズなシルエットで表現した。
原点に立ち返るという意味を込めて「Starting Over」をテーマに掲げた今シーズン。ランウェイを合うくモデルたちが手に持っている花や枝といった植物と共鳴するような、優しく一体感のあるルックを展開した。カラーは、ネイビーやブラウン、オフホワイトをベースに、藍染や泥染なども取り入れ、しっくりと落ち着いたトーンに。
ローブのようなコートは、シワ感のある素材が緩やかになびく。一見かっちりとしたジャケットのセットップにも、深いブラウンでボタニカルな刺繍を施し、牧歌的なムードを漂わせた。
「100年後も着たいニット」をコンセプトに、ニットを使ったプロダクトを提案するカピエ。ショーでは、薄いニットを異素材と組み合わせることで、涼しげで軽やかな質感を表現した。ノースリーブのニットのトップスには、ホワイトのワイドパンツを合わせて。パンツは太ももあたりから正面に切り込みを入れ、歩くたびに切り込みが揺れ、中の生地が覗く。
数々の有名デザイナーを輩出し、若手クリエイターの登竜門となっているファッション大賞のアマチュア部門。今回は世界11か国の国と地域から7,776点のデザイン画のエントリーがあり、その中から25人の精鋭たちの作品が最終審査にノミネートされた。
大賞 文部科学大臣賞に選ばれたのは、文化ファッション大学院大学・今村 未来。受賞した作品のテーマは、「LiGHTPiA」だ。
彼女自身が、”ライト”を使った展覧会を観たことをきっかけにデザインされたこのピース。トレンチコートというベーシックなアイテムを解体。腰のあたりからチュールをボリューミーにあしらいドレスのような1点に仕上げた。透き通る白のチュールから透けて見える蛍光イエローのチュールは、まるで発光しているようだ。シルバーやホワイトのカラーで表現されたコートとワンピースの模様は、ライトの科学的な性格をよく表している。