フェンディ(FENDI)の2018年春夏コレクションが、ミラノファッションウィーク最終日の2017年6月19日(月)に発表された。
今シーズンのフェンディは、前回のようなポップさは控えめに、クラシカルなものへと転じた。カール ラガーフェルドが約50年前に誕生させた、今やアイコンである「ダブルF」が、まさに今回の主役だ。当時、本来は裏地に使われていた柄を表に引き出した彼が、さらに際立ててスポットライトを当てている。
まず、終始一貫してブラウン系カラーが先行しているのもおそらく「ダブルF」が着想源。そこにピンクやグリーンなどの差し色を加えて遊んでいる。個々のアイテムへの取り入れ方は様々で、大きくフロントにあしらったプルオーバーもあれば、シャツ襟の前あき部分への挿入、ステンカラーの襟部分、帽子のツバ、ベルトのバックル、もしくはジャケットのワンポイント……。探せばひっきりなしにブランドの象徴が飾られている。
そして、フェンディの代名詞ともいえるファーはモダンにアレンジ。スポーティーなブルゾンとのドッキングで登場した。さらには、まったく対照的なシースルー素材も交互に提案している。
レザーもフェンディを語る上では欠かせない素材だ。上質で滑らかな革は、他ではできない合わせ方も可能にしてくれる。ファーとの組み合わせは想像に難くないが、テクニカルな素材との組み合わせなど、一見、対に思えるものも、美しく斬新にハイブリッドされている。
オーセンティックなテイストを基軸としながらも、やっぱりラガーフェルドの楽しい新発想は健在している。随所に現れたふんわりと灯りを灯すスタンドライトや、ホッと一息できる1杯のコーヒー、それから食卓のバナナ。家にあるものを連想させるモチーフたちは、この落ち着きのあるカラーリングにとても合う。ジャケットやトップスに配しているだけでなく、クラッチバッグにあしらったり、キーチェーンにしたりして。あるいは定番バッグ「セレリア」の裏地にまで採用している。