ダブレット(doublet)の2017-18年秋冬コレクションが、東京コレクション最終日の2017年3月25日(土)東京・渋谷ヒカリエにて発表された。
これまで写真でコレクションを発表してきたダブレットが、ショー形式での発表をするのは今回が初めて。90年代レイブの空間を意識し、踊り明かして汗にまみれた様子や、もみくちゃにされて服の乱れた様が、スタイリングとメイクアップによってリアルに演出された。ガンガンと鳴り響く音楽、空間を走り抜けるレーザービーム等の演出によって、初めてとは思えぬ熱気と迫力に溢れたショーが披露された。
目を奪ったのは、1人1人が個性的なモデルたちそのものだ。27体登場したルックのうち、プロのモデルは12体、素人はそれより多い15体だという。猫背で歩くモデルは、だぼついたジャージパンツにフーディーを被ったスタイリング。太ったモデルには、あえて腹出しのTシャツに、ボリュームあるダウンジャケットとデニムジャケットを2つ重ねた。それぞれの人物に似合うようにコーディネートされた服とモデルには、ランウェイ特有の匿名性はなく、もはや私的さすら感じさせる。
もちろん、服1点1点も、モデルたちに負けない猛烈な個性に溢れている。ジーンズの上をざっくり切り取って下だけになったものをガーターベルトでニーハイタイツのように吊ったボトムスや、ウエストが胸下まである大きすぎるスラックスに、スーパーショート丈のトップスを繋いだルック、片足だけ腿の付け根から無くなったパンツなど…。既存の洋服の影を残しつつも、見たこともない形の服に変化しているのだ。
巷にあふれる商業ロゴをアレンジしたロゴや、スカジャンの刺繍が、あらゆるアイテムの様々な箇所に配されたことも気になるポイントだった。これら一昔前によく見たモチーフを、それとは違う見せ方で示すことで、コレクションはむしろ新鮮な感覚に包まれる。
「かっこいい、かっこよくないという物差しは関係ない」と語るデザイナーは、大勢で集まって踊る匿名的なレイブや、社会に蔓延するモチーフを利用して、そこに埋もれない、しかし美しいから際立っているわけではない、新鮮で個性的な何かを表現してみせた。