ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)の2017年秋冬コレクションが、2017年3月23日(木)、東京・銀座で発表された。
今季のファンタジーは、銀座のど真ん中にある古いブリティッシュパブ「PUB CARDINAL」で綴られた。扉を開けると、そこは日本とは思えない異空間。まさにケイタ マルヤマワールドだ。“トランプゲーム”や“バックギャモン”を楽しむ人、“葉巻とウィスキー”をたしなむ人、“スウィング”のリズムに乗ってダンスを踊る人。みんなが個性的な衣装に身を包んでいる。
デザインをするうえで、あげられた“Butterfly Girl”“Swing”“London”を筆頭とする20あまりの言葉が、コレクションノートに書かれていた。それぞれが洋服に反映され、この不思議な世界で溶け合っている。
まるでタイムスリップしたかのような時間が流れるこの場所には、フリルが並んだ“ラメのニット”に幾何学的な柄をしたランダムヘムのミモレ丈スカートといった、柄を共存させたスタイルがよく似合う。特に、レトロを表すガングラブチェックは多用された。丸山自身が「シャーロックホームズ ケイタバージョン」と語ったチャイナドレス風のワンピースもそのひとつだ。
“スポットライト”を受けて光るスパンコールは、スカラップラインが重なるドレスにあしらわれた。足元のメンズライクなオックスフォードシューズはスリムなラストからできた1足で、今にも“タップダンス”を踊れそうなほど軽やか。そんな風に“ドレスアップ”した彼女とは真逆で、ざっくりとした“手編みのセーター”を着たカジュアルな女性もいる。
“ボーイフレンド”のジャケットを借りてきているような女の子は、ラペルにブローチを付けて自分風にアレンジ。一方その隣では、精緻な刺繍をあしらった“ヴィンテージのコート”と、オリエンタルなプリントをあしらったワンピースを合わせて、和洋折衷を感じさせるスタイリングを楽しむ人の姿が。
そして、何より今シーズンを語るうえで忘れてはならないのが動物たちの存在。丸山は、イギリスということから派生してハンティングを思い浮かべたという。ワインレッドの“レジメンタルストライプ”のパンツに合わせたシャツには、“キツネ狩り”の様子が描かれている。
楽しい時間が過ぎるのは早い。パーティーを終えて、来場者たちはドアを出た瞬間に現実に引き戻される。しかし、皆が楽しい気持ちを持って帰ったはずである。なぜなら、20あまりのキーワードとともに最後に書かれていた言葉は“ハッピーエンド♡”だったのだから。