アンダーカバー(UNDERCOVER)、2017年秋冬コレクションのテーマは「BRAIN WASHED GENERATION」。インターネットが普及する現代、バーチャル世界に洗脳された若者たちをモチーフ描いている。
今シーズンは、デザイナー高橋盾の“毒”の強さが顕著に表れたように思う。ルックから漂うダークな雰囲気は、ネット世界にのめり込む若者たちへ警鐘を鳴らすかのようだ。
まず目に入るのは、丸いバックパックに取り付けられた悪魔の羽根。背負えば今にも飛び立てそうなほど大きく拡がり、今シーズンを象徴するモチーフのひとつとなっている。また、前回の秋冬コレクションに登場した耳付きの帽子は、ハットに代わってフライトキャップとして採用された。
宗教的絵画をアレンジしたプリントや、“目的を失った若者”を意図する目のない男の子と女の子など奇怪なモチーフはもとより、口を覆うマスクや2本指だけを通す手袋などの小物も合わせて、キッチュなアイテムがコレクションの中に詰め込まれている。
刺激の強すぎるものばかりに目が行きがちだが、素材へ目を向けると若者らしからぬ洗練さが感じられる。というのも、アウターでは基本的なベースとなったのは「プリマロフト」である。手触りはまるでマシュマロのように柔らか。羽毛に代わる超微細マイクロファイバー素材であり、羽毛のように軽くて暖かい保温性と柔軟性を発揮する。
シルエットはというと、オーバーサイズが基本。若者たちのルーズなスタイルが、袖の長いニットやスウェットプルオーバーに現れている。そのなかで思う存分楽しむレイヤリングは自由に満ち溢れている。機能的なダウンに裾がボロボロのニット、そしてボトムスはハーフパンツと細身のスラックス。足元はロールアップする代わりに分厚い靴下で覆っている。一方で、1枚でレイヤードが完成するアウターもあり、彼らの巧みな技によるスタイリングは、ダークカラー1色のルックでさえも表情豊かに感じられる。