A.P.C.(アー・ペー・セー)の2017-18年秋冬メンズコレクションがフランス・パリで発表された。
今年30周年を迎えるA.P.C.が、今シーズンはプレゼンテーション形式で発表を行った。会場はパリ・ロワイヤル通りにあるショップの地下。そこには今季のコレクションだけでなく膨大な数のアーカイブがカラー別で並んでいる。A.P.C.のアイテムはもちろん、40年代モノ、デニムのヴィンテージも……。
ブランド誕生から今までの流れる月日を噛みしめて改めて初心に立ち返った今、初コレクションのラベル名«HIVER 87»を再度採用した。当時はブランドを限定する可能性をなくすため、自分のブランド名の代わりにシーズン名だけをつけていたのだ。
スタイリングはまさにその当時を反映するようにレトロだ。ハイネックのニットはストレートパンツにタックインして合わせている。中にはウエストがゴム仕様になったデニムをニットの重ね着で合わせているルックもある。
そして素材使いとその組み合わせ方は、トラッドでありながらもモダンに再解釈されている。ホワイトデニムのセットアップはそれ単体で見ればオーソドックスのはずではあるが、グレンチェックの洗練されたコートを合わせることで各段に新鮮な装いへと導いている。もう少し細やかなところに目を向けると、ヘリンボーンのコートは、通常なら一方方向であるはずの矢の向きが入り乱れていて複雑な柄になっているし、コーデュロイは通常より少し太目。色はベーシックカラーだが、より存在感と立体感のある仕上がりとなっている。
象徴的である«HIVER 87»は、マフラーとして大胆に採用されている。ブラックとホワイトで描かれたそれは、色味を抑え、かつ模様の少ないコレクションでは大きなインパクトだ。これまでの過程を想い起こさせる今回のコレクションは、歴史性にあまりに無頓着なまま“いいね”する現代人への問いかけでもある。