ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)の2017年新作コレクションが、2016年10月29日(土)、東京・日本橋にある、日本橋三井ホールで発表された。
「-The visionary- キモノ空想」をテーマに」、日本の空想家が夢見たキモノを展開した今シーズン。リアルと夢が入り混じるワードローブが、レディース15スタイルとメンズ3スタイルで発表された。
ファーストルックを飾ったのは、寒色系のアイテムを組み合わせたコーディネート。着物には青味がかったグリーンのモザイク柄を、帯にはパープルとブルーが組み合わせられた横段柄を合わせ、ブルーを中心とした色の揺らぎが感じられるアイテムの響き合いが感じられた。
続いて登場したのは、ドットジャージ素材を使用した羽織を着たメンズルック。“アコーディオンボーダー”という幾何学模様を用いた立体感の演出と、柄を裏側に忍ばせる隠れた美意識がスタイリング全体に奥行きをもたらし、男性ならではの豊かな包容力が表されていた。
特に目を引いたのは、「2016 組更紗」というテキスタイルの着物だ。マスタードとグリーンが掛け合わされて生み出される柄の数々は、歴史すら感じさせる存在感を放つ。それに負けずとも劣らないインパクトは「2016 ランダムスタイル」という生地の帯からも表出。これら同色のアイテムの相乗効果を支えているのは、反対色であるパープルが施された裏地にあるのも和装らしさが感じられる。
メンズのラストルックには、飛行機や象、星柄が花柄の上にプリントされた“空想世界”が感じられる着物が。そのあとにランウェイを彩った、レディースのピースは圧巻だった。ボルドーが使われた「反面ドットに百花」の着物に、ホワイトとボルドー、さりげないイエローが美しい帯を重ね、さらにバッグにそのイエローの要素を合わせているのだ。
帯揚げや雪駄、足袋と言った小物が、着物に差し込まれたアクセントカラーとマッチすることで、全身のバランスを統一するコーディネート。すべてのピースを、余すことなく組み合わせることで生まれる均衡点としての“美”がキモノ空想の世界に花開いた。