ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)の2017年春夏ウィメンズコレクションが、2016年10月22日(土)渋谷のみやした こうえんで発表された。
1年ぶりのランウェイショーとなる今季のファーストルックは、白いシャツとパンツのコンビ。かっちりとしたシャツ地と対比させるように、ボトムスにはスウェット地を選んでいる。足元はリボンを飾ったチャンキーヒールシューズ。素材選びや小物遊びで個性をきかせているものの、サブカルチャーやティーンズの刹那性などを説いてきたこれまでと比べると、いささか物足りなさが残る。ストライプシャツ、ジレ、ショートパンツ。カラフルなメイクやデコラティブなシューズで刺激を差しても、続くのはかなりフォーマルな装いだ。
そんな観客の‟拍子抜け”を察したように、ミキオサカベの遊びが始まる。ショートパンツは、‟腰パン”とはかけ離れるほど、ウエストラインをどんと落としてユニークに。テーラードジャケットは、肩を肘近くまでドロップドさせて、さらに身幅を広く丈感を短めに整えた。テーラードジレは、まるでトレーニング用のタンクトップのようにアームラインを大胆にカッティング。構築的であるはずのフォーマルウェアが変幻自在に形を変えていく。
アップデートなナンバーに転調すると、色彩たちが弾け、お祭りのようなポップなムードに。先に述べた変形フォルムに、ピンクやイエロー、グリーンといった鮮やかカラーが溶け込み、カットジャカードやレオパード柄のホログラム調の生地が交差する。また、シルエット遊びは加速度を増し、シャツは袖が2重に、プリーツスカートは原型が崩れるほどビックサイズへとリサイズされた。タックインしたシャツがはみ出すほどのマイクロミニスカートや肩パット入りのトップス、懐かしさを感じるピースがショータイムの主役のように存在感を増していく。
ショー終了後のインタビューで、デザイナーの坂部三樹郎が、70~90年代異なる時代のフォルムを融合させることが今季の一番の目標だったと明かしてくれた。時の流れから考えても、はたまた融合させる技術的な面から見ても、通常は混じり合うことのないもの。それらをドッキングさせることで、新しい発見があるかもしれない。そんな好奇心が、坂部の心をくすぐったのだ。
また、これまでは東京カルチャーに魅せられてきた坂部であったが、今後は今までやってこなかったことにチャレンジしていきたいという目標も語った。海外で彼が学んで見てきたもの。それらに向き合い表現していくそうだ。