ジュリアン デイヴィッド(Julien David)は、メンズ・ウィメンズ統合によるショーを行い、2017年春夏シーズンを迎えた。キーワードは「トロピカル」。
ジュリアン デイヴィッドの夏は、燦々と輝く太陽やキラキラと光る海、真っ白な砂浜が似合うリゾートシーンには存在しない。もっとじめっと湿度のある夏。日本で洋服製作を行っているブランドらしく、じっととした日本の暑い季節がインスピレーションとなっている。
鬱陶しいくらいの熱気とだるさは、モデルたちのヘアメイクで見事に表現されている。波打つウエットヘアと火照った頬、汗ばんだ姿を想起させるツヤのある肌。夏らしい海辺の様子は「WAVE」といったロゴによって象徴的に切り取られ、何度も擦って描いた鋭い文字や真っ赤なインクを落としたようなアルファベットに形を変えた。
しかし、ベースはジュリアン デイヴィッドらしいストリートで、象徴的な「WAVE」ロゴもワイドなボトムスやバケットハットなどに落とし込まれ、都会的なスタイルへと大きく帆を張る。
コミカルに夏を表現しているのは波のモチーフ。連続的に記されたこの印は、たゆたう船のように、得意のカットジャカードやプリントの上に存在している。また、ビニール地のバッグやスニーカーの上にも姿を出し、ひと夏の余韻を都会へ持ち込む。
シーズンコンセプトをより色濃く打ち出すのは、メンズとウィメンズで同じアイテムを着用すること。同じサイズ感で着て欲しいというデザイナーの強い思いは、ベルトディテールを添えたスウェットを時にゆったりと時にタイトに見せ、またルーズなチェックシャツに、着こなしによって印象が変わることを教えている。