ジェイソン ウー(Jason Wu)の2012年春夏コレクションが、ニューヨーク・チェルシー地区にあるCenter 548で発表された。グラフィックアーティスト「KAWS」の作品にインスパイアされ、ポップアートとクチュールの融合をテーマにした今回のコレクション。ブラック&ホワイトを中心に、コーラルピンク、レモンイエロー、オーシャンブルーなど、爽やかでポップな印象のキャンディーカラーを差し色にしながらも、ジェイソン ウーらしいクラシックなテイストだ。
白いタイルが敷き詰められたランウェイを歩くモデルたちは、鳥の巣のようなブラックのヘッドアクセサリーに、真っ赤なルージュのみのシンプルなメイクでとてもシックな表情。全体を通してボディコンシャスなルックが多く、特にボトムスはタイトなショートパンツやクロップドパンツがメイン。一方で、肩や腰回りにボリュームを持たせたドレスはロココ時代を思わせ、まさにクチュールらしいエレガントな雰囲気を漂わせている。ブラックの細いベルトをウエストに置くことで全体をすっきりとした印象に仕上げたのもポイント。
何より目を引いたのは、襟元にふんだんに施されたビジュー。身頃に使用された、金糸を織り込んだ光沢感のある素材や、シルク、シースルーといった軽やかで華やかな素材が、襟元の重厚感と見事に中和して春らしいスタイルを完成させた。KAWSによる花びら柄のシースルー生地が魅せるボディは、セクシーさでいっぱい。バックスタイルが長めになったアシンメトリーなデザインのドレスやスカートも、柔らかな素材を使用することで、アバンギャルドになりすぎない絶妙なインパクトを放っている。
ジェイソン ウーならではのエレガントさを保ちつつも、軽やかなカラーと素材で少しセクシーさとポップアートの要素が加わり、遊び心のある装いで新たな展開を見せたコレクションだった。