ニューヨーク・トライベッカ地区にあるBMCC Theaterで発表されたN.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)の2012年春夏コレクション。タイトルは「タイトルバック」。映画のタイトルバックデザインを確立したことで知られるグラフィックデザイナー、ソール・バスがインスピレーション源となった。
モノトーンのフィルムと、彼がデザインを手掛けた様々な映画のサウンドトラックを彷彿させる音楽に合わせて登場したのは、60年代の映画によくみられるようなスタイルのモデルたち。くるぶしのみえる9分丈のスラックスにシャツ、黒縁メガネをかけ、足元はドレスシューズで決めたソリッドなスタイルや、フィルムをイメージしたプリントが施された軽素材のアウターにハーフパンツやショーツを組み合わせるなど、今シーズンを象徴するオリジナルのテキスタイルも多くみられた。また、ニットを圧縮してできた独特なフォルムのハットが、シンプルなコーディネートにアクセントを効かせている。
モノトーンをベースに、ビビッドイエロー、ブルー、グリーン、赤といった、目を引く鮮やかなカラーをミックスしたカラーパレット。モザイク柄のカラフルなアイテムは、ソール・バスのシグニチャーともいえるグラフィックで、コンピューターの画像のようなフューチャリスティックな印象。シンプルでベーシックな形のアイテムが多い中、特徴的なのは、映画のフィルムのような極太のライン。素材に合わせて、ペイント、ニット、ダイイングなど様々な加工をトップスにもパンツにも施した。ボーダーとはまた違ったランダムな線が、ルックに動きを与えている。
終盤‘THE END’の文字がスクリーンに現れると、‘THE END’の文字がびっしりとデザインされたモノクロプリントのアイテムが登場。ジャケットに、シャツに、パンツにと、至る所に現れる文字が、モノトーンながらも強烈なインパクトを与え、フィナーレを飾った。