ポール スミス(Paul Smith)の2012年春夏のコンセプトは”The Color Navy Blue"。伝統的な作業着を、現代的でエレガントなデザインに生まれ変わらせた、ミニマルでクラシックな美しいスタイルが特徴的だ。
カラーパレットはコンセプトにもある通り、ミッドナイトブルーやイヴ・クラインブルーのネイビーブルーがメイン。そこに指し色としてオレンジやブラウン、レンガ色が加えられている。また芸術家でもあり写真家でもあった Mark Morrisroe (マーク・モリスロー) の作品をイメージしたプリントは、まるで絵の具をちりばめたかのような大胆なグラフィックで、ネイビーブルーを基調としたコレクションに鮮やかでシャープな印象を与えている。
作業着を日常に馴染むようなデザインにアレンジしたボックスシェイプのジャケットや、思い切り肩のラインを下げたショート丈のスリムな作業者風スモックジャケットは、どちらもベーシックなフォルムにモダンな要素を取り入れている。またワークジャケットの伝統的な内側のディティールを表に出し、ポール スミスが得意とするレーザーステッチと手仕上げを組み合わたデザインが印象的。その軽やかだが存在感のある作りは、カジュアルであると同時にクラシックな上品さを表現している。裾にリブ使いとプリーツを施したテーパードパンツは、切り返しているようで、ポール スミス独特のユニークなデザインに仕上がっている。
スタイリングのポイントは、柔らかく贅沢な生地を生かした、レイヤードスタイル。シンプルでエレガントなジャケットに、ロング丈のリバーシブルオーバーコートやトレンチコートを重ね着している。さらに今季は、リメイクされた上質な布地が使用されており、それらが作り出すドレープやシルエットによって着る人をより一層優雅に見せている。