ベッドサイドドラマ(bedsidedrama)は、“おとぎ話”をソースにした2016-17年秋冬コレクションを発表した。ページをめくるように次から次へと違うルックに目を移せば、たくさんの物語が隠れてることに気づかされる。
まずは、『不思議の国のアリス』から。イメージインスピレーションは、モヘアシャギーのジャカードで表現された。ポンチョ風のロングカーディガンやコート、大きなバックパックが、ふんわりと温かみのあるムードを漂わせる。一方、『ラプンツェル』はニットアイテムへ。彼女の長い髪を連想させるのは、ケーブル編みや三つ編みのデザイン。ニットカーディガンの中には、バックのシルエットに大きな三つ編みを施して、裾を毛先のようなフリンジ状に仕立てているものもある。
そして、『ブレーメンの音楽隊』や『赤ずきん』をイメージしたプリントは、プルオーバーの真ん中にシンプルに配され、7人の小人はグラフィカルな模様となってワンピースを彩る。誰もが知るおとぎ話の登場人物とともに、コレクションを盛り立てたのは、森に住む動物たちだ。MA-1の袖部分は、オリジナル柄のキルティングで、そこにはひつじやオオカミ、ねこ、山羊といった動物が潜んでいる。色がカーキだったり袖ポケットがあったり、ミリタリーな要素はそのままなのだが、どこかメルヘンなのは愉快な彼らのせい。
ファンタジーな世界を着想源にしていると、とびきり甘いムードの洋服が生まれそうであるが、すべてがほんのりドリーミーなだけ。ベースはあくまでナチュラルだ。例を挙げるなら、分量感たっぷりに仕上げられたワンピース。装飾や柄のないシンプルな素材を大きく用いることで、いとも簡単に魔女を連想させるのが面白い。また、スタイリングも過剰になりすぎない配慮がなされていて、プリント入りのプルオーバーには、柔らかいニットパンツやワイドパンツを組み合わせることで、リラクシングな流れを築いた。
さらに、洋服だけでなく、足元にも物語は繰り広げられている。今季のアクセントであり続けた『赤い靴』。主人公が魅了された靴と同じように魅惑的で、私たちをリリカルな世界へと導いた。