ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)の2012年春夏コレクション。東日本大震災から湧き起こった感情をテーマに、‘Wish You Were Here’のメッセージを、ジャケットに、ボトムスにと、様々な姿で表現している。
2011年3月に日本で起きた、未曾有の大震災。多くの人や物が一瞬にして姿を消した。生きている事の奇跡と、当たり前だった日常への感謝を胸に、日本は気持ちを一つに復興へと力を注いでいる。価値観や思想は人それぞれで異なるが、助け合い支えあって気持ちを一つにしていかなくてはいけない。様々なテキスタイルを編みこんで作られたニットのコレクションには、ミハラヤスヒロのそんな想いが込められている。
カラーはモノトーンと様々な色調の青がメイン。中でも、青のグラデーションニットやペンキでペイントされたようなデザインのニットは、‘波'を連想させる。
ミハラヤスヒロの定番であり象徴でもある、フォトジャカードと呼ばれるファブリック使い。今季は生地の中に陰影を織り込んでおり、見る角度によって違った素材に見える仕上がりとなっている。また、テーラードジャケットやスラックスパンツなどフォーマルなアイテムに使用されるのは、カットソーやジャージーといった、カジュアルなイメージのある素材を編みこんだニット。アイテムと、そこに使われる素材のイメージを良い意味で裏切ることで、「当たり前の姿」への反逆を表現。また、得意とするシューズでは、途中で切断されたかのようなストレートチップのシューズやデザートブーツなどが登場。
時間の経過は、時として多くのものを風化してしまう。しかし、忘れてはいけないことがあり、忘れてはいけない人たちはたくさんいる。Wish you were here-ミハラヤスヒロのコレクションは、決して風化させてはいけない大震災の悲劇と‘日常'の奇跡を、私たちの胸にしっかりと刻んでくれる。