ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)は2016-17年秋冬コレクションを、イタリア・ミラノで発表した。
デザイナーのジョルジオ・アルマーニは、ショーの最後の挨拶の時、必ずネイビーの丸首のTシャツ(冬はハイゲージのセーター)とパンツ姿で登場する。今シーズンのコレクションのキーワードは、彼が一番愛する紺色。革新的な素材や加工で、この誰もが安心するベーシックな色の可能性を広げている。
ファーストルックのピーコートは、山が連なっているような独特なテキスタイルのネイビーの陰影が魅力的な逸品。その後は、ウールに雪が降り積もったようなフード付きのウールジャケット、あえて洗いをかけているカシミヤのダブルブレストコート、毛足が短かめのリアルファーのコート、和を連想させるインディゴと刺し子のフードパーカーなどで、様々な紺の表情を引き出している。前半と後半の紺にサンドイッチされた中盤のカラーパレットは、グレー、ブラック、ブラウン、ベージュなど。全体的には落ち着いた色味で、優しくリラックス感にあふれた雰囲気だ。
ダブルブレストの着丈が短くなったのもトピックのひとつ。アルマーニのシグネーチャーのひとつであるストライプのダブルブレストのスーツのジャケットは、通常より10cmくらい着丈が短い印象で、2列6個のボタンは裾にかけてハの字型に広がっている。タイドアップというよりは、ルックのようにTシャツで着こなすのが似合うイメージだ。ダブルの8つボタンのジャケットも、鋭角な刃物で着丈をカットしたかのように短かい。
アイテムでは、消防士の作業着にインスパイアされたファイヤーマンコートが新鮮。クルマのタイヤのような質感のスタンドカラーのレザーコート、胸元に2本のギザギザのラインが入った毛足の短いムートンのような質感のコートを提案した。パンツは、クロップド丈なのに裾がフレアしたもの、太ももや腰回りがゆったりしていて裾にかけてテパードする2タックのトラウザー、美しいドレープを描くワイドシルエットのトラウザー、裾にカフが付いたスキーパンツ風のジョッパーズパンツなど。シューズは、スウェードと表革のコンビネーションのマウンテンブーツ、ファーと表革のスリッポンの2択。小物では、小さめのツーブリッジのサングラスと、ブリム幅の狭いハットが全体を引き締めている。
TEXT by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)