ロベルト カヴァリ(roberto cavalli)は2016-17年秋冬コレクションを、イタリア・ミラノで発表した。新たにクリエイティブディレクターに就任したピーター・デュンダスの手による初のメンズコレクションのテーマは「Real Opulence」。60年代後半〜70年代前半に輝いていたロックスター(ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ジミー・ペイジ、セルジュ・ゲンスブールら)の退廃的で色気のある佇まいにインスピレーションを受け、70’sムードが色濃く漂う“ボヘミアン・ラグジュアリー”なスタイルを提案した。
ファーストルックは、リアルファーのダブルブレストのコートに、ゆったりしたシルエットのフレアパンツ、ハイカットのローテクスニーカー、そしてフェアアイルのニットとマフラーを合わせたスタイル。全体的な雰囲気は紛れもなくロックなのだが、ニットとマフラーが牧歌的かつ伝統的な柄だから、どこか品の良さも漂う。その品格は、このブランドらしい蛇革のブルゾンでも同じ。単品で見ればこれ以上ないくらい男らしいアイテムでも、スタイリングにヌケ感があるから、いつものギラギラ感がいい意味で抑えられている。
ジャケットは、パットがしっかり入ったコンケーブショルダーで、丸みを帯びたショルダーが主流の現代では攻めたシルエットだ。ベルベットに花柄の刺繍をのせた貴族的なジャケットは、ほどよく色落ちしたベルボトムのジーンズに良く似合う。後半には寝間着とスーツの境目をあいまいにした“ガウンスーツ”を提案した。
カラーパレットはビターチョコレート、ラスト、ダスティーローズ、セピア、タバコなど。素材はデニム、ベルベット、ツィード、リアルファー、スウェード、ムートンなどで、高級な素材をカジュアルに調理している。ピーターのカヴァリは、これまでと同様にロックスターに愛されることになるのは間違いないが、現代的な引き算が入っているからこれまで以上にファンを増やしそうだ。
TEXT by Kaijiro Masuda (FASHION JOURNALIST)