クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA)は、フランス・パリで、2016年春夏コレクションを発表した。テーマは「アゲインスト(AGAINST)」。今季のイメージソースとなったのは、1950年代に公開された、アメリカ映画『乱暴者(原題:The Wild One)』。バイクに乗ったギャング集団「アウトロー・バイカー」を描いた物語で、マーロン・ブランドが演じる主人公・ジョニーの淡い恋心も作品の魅力の一つである。
会場に並べられたヴィンテージバイクに群がるモデルたちは、ライダースジャケットやデニムまたはレザーパンツ、裾の萎まったピストルパンツで身を固め、バイカースタイルそのもの。ジャケットのアーム部分はワイドに、またボトムスはクロップド丈に設定され、足元にはエンジニアブーツまたはローファーを合わせている。この逆三角形のシルエットが、反骨精神あふれるバイク乗りの姿をリアルに表しているのだ。
映画公開時の時代背景を示すように、イラストやモチーフからは50'sが香る。格子柄や「サンダーバード」と呼ばれるフットプリント、さらにイメージを広げ、スーベニアジャケットを想起させる刺繍。加えて、開襟シャツやアニマルモチーフのニットがレトロな雰囲気を醸し出している。
斧が刺さったドクロや鷲、へびの刺繍、そしてタイガーの総刺繍を配したレザージャケットは、ハードさの中に繊細さを秘めている。西陣織の格子柄シャツやフェザーをあしらったレザーキャスケットなど丁寧に仕上げられたアイテムも揃い、映画の主人公・ジョニーの無骨さとピュアさが投影されているように見える。ターコイズやピンクのアクセントを加えた、馬革のアイテムもジョニーの若さや無邪気さを描いているようだった。